社説

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 就職活動を応援してくれるものと信じた学生らに対する、明らかな背信行為である。

 就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京)が、利用学生の内定辞退率を算出し、企業30社以上に販売していたことが発覚した。

 内定辞退率は、学生が企業の内定を辞退するかどうかの確率で、同社は学生本人が登録した情報や企業情報を閲覧した履歴などを人工知能(AI)で分析し、推計していた。

 利用者のデータを第三者に提供するには、個人情報保護法で本人の同意が必要とされる。だが同社はその手順を怠るか、形式的な同意にとどめていた。

 事実上、本人が知らないうちに採否を決める企業側に学生個々の情報が渡されていた。

 政府の個人情報保護委員会は法令違反に当たると判断し、組織体制の見直しを同社に勧告した。勧告は委員会設置以来初めてで、今回の事態を重大視している表れだろう。

 何より信頼を裏切られたことに、学生らはショックを受けている。同社は内定辞退率を企業に販売していたサービスを廃止した。当然の対応である。

 東京労働局も今回の不正を調査している。同社の小林大三社長は、10月から個人情報の利用をチェックする責任者を置くなどの改善策を公表した。それだけでなく自らの経営責任もはっきりさせるべきだ。

 リクナビには、中小も含め3万社以上の企業情報が掲載されている。「就活で使わざるを得ないサイト」とされており、約80万人が登録している。

 一方、データを購入した企業は自動車や電機、金融など幅広い分野に及び、日本を代表する大手が目立つ。多くが「内定者の辞退を防ぐために使った」と説明しており、合否判定に用いた例はなかったとされる。

 だが、学生に寄り添うサイトが裏で企業に不正な情報提供を行っていた事実は消えない。膨大な個人情報を蓄積するサイトの運営者は、法令順守を徹底しなければならない。

 そのためにも今回のケースは第三者委員会で検証し、結果を公表する必要がある。信頼回復に向けた取り組みは、すべてをガラス張りで進めることだ。

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