社説

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 神戸・ポートアイランド2期に設置されたスーパーコンピューター「京(けい)」がきのう、電源を切り運用を停止した。1100億円を超す国費を投じて開発されたが、本格稼働から7年で役目を終えた。

 理化学研究所は京を解体し、跡地で2021年に後継スパコン「富岳(ふがく)」の運用を始める予定だ。京の最大100倍の性能を有する見込みで、日本のスパコンは新世代に移る。

 開発競争で日本がトップに立つための切り札として期待がかかる。世界屈指の研究拠点を擁するのは、兵庫・神戸にとって大きな利点だ。地域力向上につなげる仕掛けづくりも、官民でもっと考えたい。

 京は世界で初めて毎秒1京(兆の1万倍)回の計算能力を達成した。だが、その後は米中などの開発競争に押され、現在は演算速度の世界ランキングで20位と凋落(ちょうらく)した。

 一方で、ビッグデータの処理能力が15年以来世界一の座にあるのは誇らしい。中央演算処理装置(CPU)などが古くなっても、データ読み込みなどコンピューター全体の設計が優れていたことを物語る。

 ゲリラ豪雨の予想や創薬、医療、企業の新製品開発など、京は多くの分野で画期的な研究成果を生んだ。スパコンをより社会に身近な存在にした功績は大きい。

 後継機の富岳は、特殊なソフトウエアが必要だった京と異なり、一般的な文書作成に使うワードなどのソフトも使える。より多くの技術者が、学術分野にとどまらず生活をより豊かにする研究開発に役立ててほしい。

 神戸市はスパコンの存在を柱に掲げ、ポーアイ2期の医療産業都市への企業誘致を手がけてきた。現在は300を超す企業や研究所が立地する。

 県西部の播磨科学公園都市には大型放射光施設「スプリング8」やエックス線自由電子レーザー施設「SACLA(さくら)」があり、双方で得たデータをスパコンで詳細に解析することもできる。

 これらの集積を生かし、兵庫・神戸から革新的な成果を次々に発信するために、人材育成や施設間の連携などの手だてもさらに整えたい。

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