社説

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 九州北部の猛烈な雨は、佐賀県などで河川の氾濫や浸水被害をもたらした。昨年の西日本豪雨が記憶に新しい中、集落や市街地が水没し、水害への備えの弱さを浮き彫りにした。

 ちょうどこの時期、兵庫県が「千年に1度」クラスの大雨が降った場合の浸水想定を発表した。県が管理する43水系249河川を対象にしたもので、従来の想定では「浸水しない」とされていた地域でも被害が予想され、浸水面積は最大で150倍超に拡大するという。

 「千年に1度」は千年に1度の周期で起きるという意味ではない。極めてまれな大雨だが、いつ発生するか分からないと受け止めるべきだろう。

 兵庫でも、大規模な水害や土砂災害が発生しており、気を緩めることはできない。

 きょうは「防災の日」。過去の教訓も生かし、備えをより確かなものとしなければならない。

 九州北部では、1時間雨量が100ミリを超える非常に激しい雨が降り続いた。前線に湿った空気が流れ込み、積乱雲が同じ場所で連続して発生する「線状降水帯」の影響のようだ。

 気象庁は福岡、佐賀、長崎の各県に大雨特別警報を出した。大雨・洪水警戒レベルは最も高い「5」で、3県で一時、約87万人に避難指示が出た。

 佐賀で特に被害が拡大したのは、低い平地が広がっており、大雨と満潮が重なって水はけが悪くなったためとみられる。

 雨水の量が排水処理の能力を上回り、下水道などからあふれる「内水氾濫」も被害を大きくした一因とされている。

 兵庫でも、15年前の台風による大雨で円山川が決壊し、豊岡市などの浸水被害が拡大した。10年前の県西・北部豪雨でも佐用町や朝来市の河川が氾濫し、住宅が洪水に見舞われた。

 水の被害は人ごとではない。神戸や阪神地域でも過去に大規模な土砂災害が発生している。将来の甚大な被害想定を冷静に受け止め、命を守る取り組みを官民で進める必要がある。

 「それはいつだかは分からないが、来ることは来る」「今からその時に備えるのが、何よりも肝要である」。物理学者・寺田寅彦の残したこの言葉を改めて深く胸に刻みたい。

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