社説

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 異常事態というほかない。

 今の高校2年生から受けることになる大学入学共通テストには、民間の英語検定試験が導入される。ところが、国公私立大学の3割が検定試験を利用するかどうかを決めていないことが明らかになった。

 それだけではない。検定試験の一部は9月から申し込みが始まるが、日程や会場などの全体像がまだ固まっていないのだ。これでは備えようがない。

 生徒や現場の先生たちが不安を募らせるのは当然といえる。全国高校長協会は「まったく先が見通せないほど混乱している」と文部科学大臣に不安解消を求める異例の声明を出した。

 入試改革ありきで拙速に事を運んできた文科省の責任は重い。万全の体制が整うまで検定試験の導入を見送ることも検討してはどうか。受験生に最大限配慮した対策を早急に打ちだし、丁寧に説明すべきだ。

 大学入試センター試験の後継として2020年度に始まる大学入学共通テストの目玉の一つが、民間の検定試験である。

 「読む、聞く、書く、話す」の4技能を総合的に問うという。グローバル人材を求める経済界の意向が反映された。

 受験生は文科省が認定する試験から選んで受ける。高校2年生の場合、来年4~12月に2回まで受けることができる。

 ところが今年7月、検定試験のうち「TOEIC」が、「責任を持って運営するのが困難」として参加を突然取りやめた。成績処理などをすべて民間に丸投げする制度設計のリスクが顕在化したと言っていい。

 北海道大、東北大などは検定試験の活用を見送った。「異なる結果を同列に比較できない」との理由だ。東京大は検定試験を出願の必須条件としない抜け道をつくった。

 懸念はまだある。検定試験の会場は都市部に集中しがちで、居住地によって受験機会に差がつきかねない。塾や海外旅行など家庭の経済力による格差を心配する声は多い。

 「使える英語」の重要性は否定しない。だが、公平、公正であるべき入試で、その能力を性急に求めること自体に無理がある。教育現場での指導を充実させるのが先ではないか。

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