社説

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 全国知事会が、災害時の死者、行方不明者の氏名公表について国に全国統一の基準を策定するよう提言した。

 現在は都道府県など自治体の判断に委ねられている。ただ、捜索など迅速な災害対応とプライバシー保護の兼ね合いで運用に違いが出ている。

 大規模災害が多発する中、命を守ることを最優先に、国民の理解が得られるガイドラインを設けねばならない。

 2003年の個人情報保護法の成立後、各自治体は被災者の氏名公表について判断を迫られてきた。顕著だったのが、昨年7月の西日本豪雨での対応だ。

 被害が甚大だった岡山、広島、愛媛3県のうち、いち早く不明者情報を出したのは岡山だけだった。その結果、住民からの情報が集まり、捜索の効率化につながった。

 当事者や家族などからの批判や提訴も覚悟した上での判断だったというが、公表が必要との認識も広まった。

 個人情報保護法や、それを基に制定された各自治体の個人情報保護条例は、「人の生命、身体または財産の保護のため、緊急の必要がある場合」などの例外規定を設けている。安否確認などに役立てるためだ。

 しかし、DV被害者が加害者に情報を知られるなどのリスクもあり、自主的な公表に二の足を踏む自治体もある。

 共同通信社が全国の知事と首都圏の市区町村を対象としたアンケートでは、捜索に役立つとの観点から、いずれも約6割が不明者の氏名公表に前向きな姿勢を示した。

 その上で「全国共通の課題。国が基準を示すべきだ」(井戸敏三兵庫県知事)など、国による事前のルール作りの必要性を指摘した。

 個人情報が売買され、多くの被害者が出ている時代にあって、プライバシー保護の重要性は増している。その点にも配慮して、捜索の円滑化が見込まれる場合や、DV被害者の除外など、氏名公表の独自基準を設ける自治体もある。

 災害の犠牲者も含めて個人名を公にすることがどのような意味を持つのか。防災、減災の観点から社会全体で議論を深めることが重要だ。

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