社説

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 6月に始まったふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外した総務省の決定について、国と自治体のトラブルを審査する「国地方係争処理委員会」が再検討するよう勧告した。

 総務省は過度な返礼品競争に歯止めをかけるため、返礼品の基準を設け、これに従う自治体だけに参加を認める仕組みに改めた。泉佐野市は移行直前までインターネット通販のギフト券を見返りに巨額の寄付を集め続けた。総務省は「昨年11月以降、制度の趣旨に反する方法で多額の寄付を集めた」として同市の参加を認めなかった。

 係争委は、泉佐野市の寄付集めを「制度存続が危ぶまれる状況を招いた」と厳しくたしなめつつ、新制度開始前の違反を理由に締め出す総務省の対応は法に違反する恐れがあると指摘した。除外は不当として審査を申し出た市の主張を大筋で認めており、総務省は事実上の「敗訴」となる。

 総務省は自治体への通知で、「返礼品は寄付額の3割以内の地場産品」などと定めたが、地場産の定義などは曖昧な部分が多く、法的拘束力もない。係争委に持ち込まれるまで、泉佐野市と協議した形跡もない。

 勧告は、意に沿わない自治体を懲らしめるかのような国の強権的な手法に警鐘を鳴らした。妥当な判断といえる。

 係争委が国側に対応の見直しを勧告したのは18年ぶり2度目だ。国と地方を「対等」とした地方分権一括法施行に伴い2000年に設置されたが「審査対象に該当しない」などとして自治体の訴えを却下するケースが多かった。米軍普天間飛行場の移設を巡る問題でも同様だ。

 今回は5人の委員が全員一致した勧告という。それほど横暴な決定と認定されたことを、総務省は重く受け止めるべきだ。

 係争委はふるさと納税制度自体を否定してはいない。だが、都市部の自治体では得られるはずの税収が地方に流れ、市民サービスへの影響が心配され始めている。そもそも見返りを得られるのでは、寄付で地方を応援する本来の趣旨と矛盾する。

 こうした問題点を放置してきた国の責任は大きい。返礼品廃止を含め制度を抜本的に見直す時期に来ている。

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