社説

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 日韓の対立が深まるにつれ、互いの国民感情にも相手国への反感が広がり始めている。

 そんな中、週刊誌「週刊ポスト」が「韓国なんて要らない」と題する特集記事を掲載した。「『嫌韓』ではなく『断韓』だ」とうたい、関係を断絶したらどちらがより大きな影響を被るかを予測する。

 「怒りを抑えられない『韓国人という病理』」の見出しで、国民性にも疑問を投げ掛ける。「日本人には理解し難い言動」に焦点を当てた記事だ。

 いずれも識者の発言などを引用して構成されている。とはいえ、見出しのように、韓国人全体への反感をあおる内容になっている。冷静で客観的な記事とは言い難い。

 特に首をかしげるのは、怒りを動機とする凶悪事件や激しい抗議行動などを例に挙げ、韓国の成人の半数が怒りを制御できず、10人に1人は治療を必要とすると指摘した記事だ。韓国の学会リポートを基にしているが、「韓国人は異質」との印象を強調する狙いが読み取れる。

 しかし、他者に感情をぶつける不条理な事件は京都アニメーションの放火殺人など日本でも起きている。米国の乱射事件も逆恨みの事例が目立つ。韓国だけを「異質」とする捉え方は、現代社会が抱える病理を見落とすことにならないか。

 雑誌記事には大胆な切り口がつきものだ。それが議論を深める刺激となればいいが、事態の改善と相互理解の道を探る姿勢を欠けば、偏見を助長するだけに終わるだろう。

 雑誌の売り上げは減少傾向にある。昨今の「嫌韓」の風潮に乗れば売れると考えたのかもしれない。そうだとすれば、極端な「韓国たたき」に迎合した、悲しい打算というしかない。

 芥川賞作家の柳美里(ゆうみり)さんは「人種差別と憎悪をあおるヘイトスピーチ」と指摘する。作家の深沢潮(うしお)さんは連載中止を表明し、思想家の内田樹さんも発行元の小学館と仕事をしないと述べるなど、批判の声があがる。

 小学館は「誤解を広めかねず、配慮に欠けていた」などとするコメントを発表した。それならなぜ雑誌を回収しなかったのか。今からでも問題を検証し、読者に説明すべきである。

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