社説

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 昨年の台風21号は高波や高潮によって大阪湾沿岸の広い範囲で浸水被害を発生させた。1年経た今も、護岸のかさ上げなどはまだ途上にある。

 懸念されるのが機能不全に陥った関西空港だ。防災工事の完了は早くて3年後になる。

 気象災害は年々激しさを増す。同様の風水害は今後も起こると考えて海上空港の脆弱(ぜいじゃく)さを自覚し、当面はソフト重視の対策強化にも努めねばならない。

 台風21号では、東京ドーム2杯分を超える270万立方メートルの海水が関空に流入した。対岸と結ぶ唯一の連絡橋が暴風で流されたタンカーに壊される事故も重なった。

 深刻な被害が浮き彫りにしたのが、未熟な防災対策と災害への意識の低さだった。

 空港の心臓部である電気設備は地下にあり、海水で電源は喪失した。もともと弱点として指摘され、仙台空港が津波で電源喪失した東日本大震災の教訓も生かされていなかった。

 空港に閉じ込められた利用客らへの対応も混乱を極め、8千人という人数の把握すらままならない状況に陥った。

 運営する関西エアポートは、停電や滑走路閉鎖など18項目の機能喪失を想定した新しい事業継続計画を今年4月に発表した。官公庁や航空会社など数多くの機関との連携が重要になる。訓練や外部の意見などから課題を洗い出し、不断に見直さねばならない。

 人工島の宿命である地盤沈下にも、抜本的なかさ上げなどの対策を講じるべきだ。

 台風21号は、兵庫県南部でも六甲アイランドの大量のコンテナ流出や住宅地の浸水などをもたらした。被害想定の不備の反省から、各自治体は防災計画の見直しを迫られている。

 兵庫県は阪神間や神戸で「想定し得る最悪のケース」で高潮被害が及ぶ区域図を発表した。南海トラフ巨大地震の津波想定より潮位が高くなる場合もあることを認識する必要がある。

 地図上の広大な浸水地域は、大阪湾沿岸が産業と人口が集中した低地であることを改めて示している。台風などが引き起こす高波・高潮被害は同時多発的に起こるという意識を高めて、備えを強化していきたい。

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