社説

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 人工知能(AI)を備え、標的を自動的に識別して攻撃する「殺人ロボット兵器」に関する国連公式専門家会議は、法的拘束力を持つ禁止条約の実現が見通せないまま、先月下旬にひとまず議論を終えた。

 「兵器の運用にあたり国際人道法を順守する」などの指針を盛り込んだ議長報告の公表が、せめてもの成果といえる。

 だが、高度な軍事技術を持つ米国やロシアなどは開発に力を入れている。今のうちに有効な歯止めを見いださなければ、競争が激化する恐れがある。

 このままでは、人間が制御できない殺人兵器のまん延という「パンドラの箱」を開けることにならないか。

 現在米国が用いる無人攻撃機は、人間が遠隔操作して攻撃の判断を行うものだ。ロボット兵器は「敵」を探し出して攻撃する過程を機械に委ねる。

 完全に自動化すれば、人間が介在しなくても、自分で判断して戦闘行為を実行する。

 今でも無人機などの遠隔攻撃は、人間を傷つける罪悪感を軽減するとされている。機械任せにすることで、非道な行動を抑制する倫理面のハードルは間違いなく低くなるだろう。

 AIの誤認識による民間人の殺傷や、兵器が暴走する危険性も伴う。そのため、中南米諸国や非政府組織などが開発禁止の条約制定を求めてきた。

 しかし米国やロシアに加えイスラエルなども規制に反対し、2年弱の議論でも一致点を見いだせなかった。

 日本はドイツなどと共に、全面禁止の主張とは一線を画してきた。民生用の技術革新を阻害する懸念からだ。自衛隊の装備高度化を図る一方で自衛官不足に直面し、無人化・省力化に迫られている事情もある。

 今回、日本は「完全自動化のロボット兵器は開発しない」と表明した。その上で人間が関与する仕組みをどう盛り込むか、議論を深めるべきとした。

 開発を前提にした姿勢とも受け取れ、他国には「曖昧な態度」と映ったのではないか。

 専門家会議は今後2年間協議を続け、なお規範や運用の枠組みを模索する。実効ある歯止めを目指す議論を、「平和国家」の日本がリードすべきだ。

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