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 日産自動車の西川(さいかわ)広人社長兼最高経営責任者が16日付の辞任を決めた。株価連動の報酬を不当に上乗せした問題の責任を取った形だ。

 前会長のカルロス・ゴーン被告による不正が明るみに出てから1年もたたないうちに、またもトップの不正が発覚した。

 自動運転や電動化など、自動車産業は100年に1度とされる大競争の渦中にある。日産が生き残るには、早急に経営陣を刷新し、企業体質を抜本的に改善すべきだ。

 日産の社内調査では、ゴーン被告らの不正で負った被害は350億円を超す。有価証券報告書で開示せずに受け取ろうとした報酬に加え、住宅購入などの私的流用も加わる。

 西川氏の報酬上乗せは2013年5月で、ゴーン被告の腹心の副社長だった時期だ。本人が役員報酬の増額を求め、担当役員が株価連動報酬の権利行使日をずらした。その間の株価上昇により、受取額が本来の額より4700万円増えた。

 ほかにも現職を含む取締役や執行役員の経験者6人が同様の手法で不当に報酬を受け取っていた。西川氏はゴーン体制との決別を宣言していたが、自身も別の不正に関わっていた。これでは組織を挙げて再生を目指すことは難しい。

 19年4~6月期の連結決算は、欧米の不振が響き、本業のもうけを示す営業利益が前年同期から9割以上も落ちこんだ。

 日産は全従業員を1割弱削減するなどの構造改革を打ち出しているが、リストラありきではますます社内の士気が下がるばかりだ。まず新経営陣が、次代への明確なビジョンを示さねばならない。

 懸念されるのは企業連合を組む仏ルノー社との関係だ。日産の4割超の株を持ち、企業統合を模索するルノーに対し、西川氏は出資比率引き下げを働きかけていた。日産の経営が弱体化すれば、ルノーは再び攻勢を強めるだろう。

 外部委員らで構成する指名委員会は、10月末までに正式な後継トップを決める。日産の技術力を引き出すとともに、ルノーや同じく連合を組む三菱自動車との共存共栄関係を強化できる人材を見いだす必要がある。

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