社説

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 日本は欧米に比べ、寄付文化が定着していない-。そんな定説を覆すような出来事を見聞きするようになった。

 惨禍に見舞われた京都アニメーションには、海外も含め再起を願うファンから20億円を超す寄付が集まった。新政党「れいわ新選組」への個人献金は発足から数カ月で4億円を超した。

 インターネットで資金を募るクラウドファンディングのサイトは、地域行事や芸術家のアート製作、研究者の開発支援など百花(ひゃっか)繚乱(りょうらん)だ。希望額を調達できた例も少なくない。

 応援したい、参加したい、成功の果実を受けとりたい…。託す金額は少なくても、さまざまな思いが結集すれば大きな推進力となる。そのことを多くの人が実感できれば、寄付文化はもっと浸透するだろう。

 公益団体の資金調達を支援するNPO法人・日本ファンドレイジング協会の「寄付白書」によると、日本の個人寄付は2016年で計7756億円に上る。英国の半分、米国の2%強にすぎないが、金額は09年比で40%、寄付者数は20%増えた。

 11年の東日本大震災に加え、ネット募集の浸透が寄付への関心を高めている要因だ。

 クレジット決済で容易に送金できる上、資金を求める事業の内容やどう役立ったかを動画などで伝えられる。資金を出しっ放し、もらいっ放しにならず、送り手と受け手のつながりを築きやすくなる。

 寄付者の思いにいかにこたえ、発信するか。そうした視点で事業を進化させ、さらに寄付が集まる好循環につなげたい。

 新たな寄付の手法として注目されるのは、遺産の寄付を生前に決める「遺贈」だ。

 兵庫県内でも、DV被害者支援に携わった兵庫教育大教授の遺志を生かす基金が発足した。明石市の男性は被災地で活動する若者を支援するために遺産を託すことを決めた。

 これまで日本の寄付額が少なかったのは、寄付をしやすい環境が十分整っていなかった側面もあるだろう。

 社会課題の解決に市民の思いや力を取り入れるために、税制の見直しなども含めた有効な手だてを、官民でもっとつくり出す必要がある。

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