社説

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 将棋女流棋士の里見香奈さんが、清麗戦決勝5番勝負で勝利し、女流六冠を獲得した。史上初の快挙である。

 現在手にしているタイトルは女流王位や女流王座などで、残るはマイナビ女子オープン(称号は女王)だけになった。偉業達成直後、「六冠にふさわしい将棋を指していきたい」と控えめに話したが、期待が高まる全七冠独占に向け、日々精進を続けてほしい。

 清麗戦は今年新設されたタイトル戦だ。その晴れやかな舞台で、対局相手に付け入る隙を与えずに見事に3連勝を果たし、初代王者に就いた。際立つ強さと、充実ぶりがうかがえる。

 島根県出身の27歳で、鋭い終盤力から「出雲のイナズマ」と呼ばれる。16歳で初タイトルを獲得するなど早くから頭角を現していた。通算タイトル獲得数は女流王位5期を含む歴代2位の37期で、押しも押されもしない女流将棋界の第一人者だ。

 チャレンジ精神も旺盛である。将棋の女流棋士とプロ棋士(四段以上)は別制度だ。昨春までプロ棋士養成機関の「奨励会」に参加し、プロ目前の三段まで上り詰めた。年齢制限で退会後は、女流枠でプロ公式戦に出場し、男性棋士を相手に好成績を挙げている。おとといの六冠初陣は七段伊藤博文さんに敗れたが、プロ編入試験の受験資格を獲得して、「女性初のプロ棋士」になる日が楽しみだ。

 とはいえ、ここまで順調に歩んできたわけではない。2013年、史上初の五冠を達成した後、不調に陥った。翌年から体調不良で1年近く公式戦を休場し、一時は一冠に後退した。しかし、復帰後は不屈の精神で次々とタイトルを奪還した。

 七冠の前には険しい道が立ちはだかる。まずはタイトルを守らねばならない。その上で、来年のマイナビ女子オープンの挑戦権を勝ち取り、実力伯仲といわれる女王で奨励会三段の西山朋佳さんとの5番勝負を制する必要がある。だが、里見さんなら成し遂げそうな予感がする。

 藤井聡太さんのブームもあって将棋人気は高まるが、女性愛好者は男性に比べて圧倒的に少ない。里見さんのめざましい活躍が、底辺拡大を後押しすることを期待したい。

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