社説

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 台風15号が縦断した千葉県内を中心に、首都圏で大規模停電による被害が深刻化している。

 連日、電化製品や水が使えない環境を耐え抜いてきた人々の疲労はピークに達している。非常用電源の燃料切れや故障から、通信設備が使えない地域も少なくない。

 命を守る電気や水がまず必要な施設と人に届くよう、政府、自治体、関係機関は対策に全力を挙げねばならない。

 事態がこれほど悪化したのは、各機関の見込みの甘さから対応が遅れたことにある。

 9日に関東を直撃した台風15号は、記録的な暴風で送電線や鉄塔、市街地の電柱や電線をなぎ倒していった。

 最大約93万戸で停電が発生し、千葉県などでは台風通過後に猛烈な暑さに見舞われた。熱中症が疑われる死者が相次ぎ、ガソリンスタンドには車中泊しようとする人々の車で長い列ができた。

 安倍晋三首相は予告通り11日に内閣改造を実施したが、被災地では通信環境が悪化し情報不足で混乱に陥っていた。官邸は対策本部を設置し、情報収集や被災地の救援を優先すべきではなかったのか。

 東京電力のあいまいな情報発信が招いた影響についても、厳しい検証が求められる。

 東電はいったん11日中の全面復旧を目指す計画を公表した。しかし台風被害の大きさから作業は難航し、復旧見込みの変更を繰り返した。楽観的な見通しが、自治体の対応などに混乱を招いたのは否めない。

 甚大な停電被害を受けて痛感するのは無電柱化の必要性だ。

 昨年、関西を直撃した台風21号でも約219万戸が停電した。飛ばされた物で電線が寸断され、倒れた電柱が救急、消防、復旧作業を妨げる。そうした強風による災害の教訓が、十分生かされたとは言えない。

 台風による暴風災害が人口密集地で頻発する現状にまず向き合うべきだ。比較的小型の台風15号でもこれほどの被害が発生した。より強力な台風も想定した危機管理策が要る。

 先進国だけでなく新興国の都市に比べても、日本の無電柱化は立ち遅れている。防災上の大きな課題と位置付けるべきだ。

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