社説

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 他人を危険に陥れる無謀なあおり運転が横行している。

 8月、茨城県の常磐自動車道で、会社員の運転する車を後ろの外国車があおった上で、前方に割り込み停車させた。降りてきた外国車のドライバーは会社員を殴ってけがをさせた。

 当時の様子はドライブレコーダーの映像で詳細に再現され、その悪質さや危険行為は、ハンドルを握る全国のドライバーに恐怖を抱かせた。

 警察は運転していた男を逮捕し、傷害容疑だけでなく、危険運転に強要容疑を適用した。あおり運転を同容疑で立件するのは初めてだ。

 事件後、他のあおり運転の映像がSNS上に投稿され、茨城のケースは氷山の一角であることを示した。根絶には厳罰化のみならず、現代社会の病理として捉えた対策も求められる。

 悪質なあおり運転が社会問題化したのは、2017年6月に神奈川県の東名高速道路で起きた一家4人死傷事故だ。

 家族が乗ったワゴン車が後続車にあおられ、高速道路上に停止させられたところに大型トラックが追突した。運転していた男は自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪などで起訴された。停車後の事故だったが、一審はあおり運転と死亡の因果関係を認定し、法の適用範囲を拡大する形で懲役18年の有罪判決を言い渡した。

 警察庁は18年1月、あらゆる法令を駆使した摘発を各都道府県警に通達した。前の車との距離を詰めすぎる道交法の「車間距離保持義務違反」による摘発は、18年に約1万3千件と前年からほぼ倍増した。

 だが、極端な接近や幅寄せ、ライトによる威嚇などは道交法で罰することができない。さらに、重大な事故でも状況によっては刑事罰に問えるかどうか争われるケースもある。

 事故の遺族らからは危険運転に対する罰則強化や新規立法を求める声があり、政府も検討を始めた。ただ法整備だけで道路上の危険行為や加害行為がなくなるわけではない。

 ハンドルを握れば人が変わるとも指摘される。怒りをコントロールできない人が増えてきているとすれば、背後の問題にも目を向けなければならない。

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