社説

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 財務省がまとめた2020年度予算の概算要求で、防衛費は総額5兆3223億円と過去最大に膨れ上がった。

 最終的な予算額も過去最大を更新する可能性が高い。そうなれば、第2次安倍政権の発足以来、8年連続の増額となる。

 予算の総額も年々、増大しており、多額の借金に頼るやりくりに変わりはない。今年は消費税増税の影響も不安視され、景気対策に財源をあてる。

 国の台所事情は火の車だ。なのに防衛費は一向に歯止めがかからない。「聖域化」が進めば財政規律を弛緩(しかん)させ、予算のバランスを崩す恐れがある。とても健全な姿とは言い難い。

 とりわけ目を引くのは自衛隊の増強に向けた支出である。

 政府は海上自衛隊の護衛艦「いずも」を事実上空母化するため、甲板などの改修費を計上した。併せて同艦に搭載する米国製の最新鋭ステルス戦闘機F35を6機購入するため、計877億円を盛り込んだ。

 政府はF35を将来的に計147機保有する計画で、今回計上されたのはその一部である。

 防衛省が秋田、山口両県を配備候補地とする地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」は、地元の反発にもかかわらず、垂直発射装置の取得などに122億円を掲げた。

 米国製装備品は、米側の提示額を受け入れる「対外有償軍事援助」で調達する。いずれ国民負担となるが、トランプ米大統領が購入要請を強める中、今回も5千億円を超えた。4年前の2倍以上の額である。

 さらに宇宙などの防衛力強化のため自衛隊に「宇宙作戦隊」や「電子戦部隊」を設けるなど、全体に大盛りの内容だ。

 要求の中には米軍再編経費など金額を示さない「事項要求」も含まれており、さらなる増額につながる要素もあるという。一体どこまで膨らむのか。

 米国や中国などが宇宙開発などでしのぎを削る中、新たな国防の備えは必要だろう。だが力で対抗する姿勢には「専守防衛」を逸脱する懸念が募る。

 そもそも青天井の要求に応えるような「打ち出の小づち」などどこにもない。もうそろそろ「平和国家」としての節度ある姿を取り戻すべきである。

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