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 サウジアラビアの石油施設が無人機の攻撃を受けた。世界最大級の産油国の供給能力が半減したことで、原油相場が急騰するなど混乱が広がっている。

 日本は輸入原油の4割弱をサウジに依存しており、供給不安が長引けば国民生活や経済活動に影響が出る恐れがある。

 だがそれ以上に懸念されるのは、「目には目を」の応酬がエスカレートする事態だ。米国は武装組織の犯行声明に取り合わず、「イランの仕業」と非難して緊張を高めている。

 日本にとってイランは友好国であり、ここは米国と距離を置いて対応しなければならない。国際社会と連携して紛争拡大の回避に力を尽くすべきだ。

 攻撃を受けたのは、サウジ東部にある世界最大規模の石油施設と、首都リヤド東方の油田である。複数の無人機がタンクなどを破壊した。巡航ミサイルも使われたとの見方もある。

 これにより約570万バレルの生産が停止したとされる。世界の日量生産の5%に当たり、株価が下落するなど、世界経済に影を落とす展開となった。

 ただ、サウジ高官は月末までに生産量が通常に戻るとの見通しを公表し、日本政府も「備蓄は十分ある」としている。現状を冷静に受け止めたい。

 犯行声明を出したのはサウジの隣国イエメンの武装組織フーシ派だ。同じイスラム教シーア派のイランの支援を受け、敵対する暫定政権はスンニ派のサウジが後ろ盾となっている。

 イエメンでは宗派対立を背景にした内戦が続き、サウジも軍事介入して病院などが破壊された。2千万人以上が食料支援などを必要とする人道危機に陥り、半数は子どもとされる。

 今回、フーシ派は「無人機攻撃を仕掛けた」と表明した。だが米国は核開発問題で対立するイランを名指しで非難する。イランが否定してもトランプ大統領は「検証次第では臨戦態勢だ」と報復を示唆する。

 超大国として今なすべきは、イエメン停戦を呼び掛け人道支援の先頭に立つことだろう。

 安倍晋三首相はイランのロウハニ大統領との会談に臨む。和平への仲介役をしっかり果たして、「平和国家」の外交力を世界に示してもらいたい。

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