社説

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 日本オリンピック委員会(JOC)が、理事会の完全非公開化を始めた。運営の透明性向上というスポーツ界全体の改革に背を向ける、時代に逆行した判断と言わざるを得ない。直ちに原則公開に改めるべきだ。

 非公開化は、6月に就任した山下泰裕新会長が推進した。会議終了後の説明とJOCホームページへの議事概要の掲載などで対応するという。

 議論の過程や意見の中身は丁寧に説明するとしている。だが、公表する情報を取捨選択する対応は、都合の悪いことは外に出さない構造を生み出しかねない。スポーツ界で相次いだ不祥事は、運営の密室性も要因だったことを忘れてはならない。

 JOCに課せられた改革への当事者意識も疑わざるを得ない。東京五輪招致を巡る前会長の贈賄疑惑では社会常識からかけ離れた対応で批判を浴びた。パワハラや不透明な補助金運用など競技団体の不祥事には指導力を発揮できなかった。その反省から立て直しを誓ったのではなかったのか。

 スポーツ庁が不祥事対策で作成した指針「ガバナンスコード」でも、理事会の透明性確保は基本とされている。JOCと同じ統括団体の日本スポーツ協会は、オープンな議論を重視して理事会を公開している。

 公平性・公正性を基にスポーツの発展を担う組織として、国民の税金から出た補助金で運営される責任を、JOCは改めて自覚すべきだ。

 非公開化の理由に挙げた「議論の活性化」にも首をかしげる。「公開の場では自由な意見が出ない」というが、現状を変える手段として内向きの論理を持ち出す考え方にあぜんとする。

 議論の停滞や理事会の形骸化は、まず人材面の問題に目を向ける必要がある。ガバナンスコードでは、組織運営の人材強化のために理事としての資質や能力の重視を求めている。

 スポーツの発展や改革に向けて自分の意見が言える人材の育成は、国際化という日本スポーツ界の課題にも大きく関わる。国のスポーツ基本計画では、国際的な意思決定の場に参画する人材を増やすことを目標を掲げる。非公開化はそうした流れも妨げる。

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