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 厚生労働省は、希望しても認可保育所などに入れない待機児童が過去最少になったと発表した。

 今年4月1日時点で全国に1万6772人。前年より約3100人減った。集計方法が変わったため単純比較はできないが、調査開始の1994年以降最も少ないという。

 都道府県別で昨年に全国ワースト2位だった兵庫県は、1569人で5年ぶりに減少した。それでもワースト3位とわずかな改善にとどまった。

 都市部を中心に保育施設が増えたことが背景にある。とはいえ、まだまだ足りない。しかもこの数字は深刻な実態を十分に反映していない。

 約7万4千人に上る「潜在的待機児童」と呼ばれる子どもたちが除外されているためだ。こちらは減るどころか、昨年より6千人も増えている。

 自宅に近い保育所や兄弟と同じ保育所など特定の施設を希望していたり、保護者が求職活動を休止したりしている場合がこれに該当する。

 潜在的という位置付けだが、保育希望には変わりない。子どもを預ける場所がないために求職活動を諦めている保護者は多い。来月からの幼児教育・保育の無償化で、認可保育所の需要はさらに高まるはずだ。

 自治体は地域の保育ニーズをきめ細かく把握し、整備計画に反映させる必要がある。施設の新設に近隣住民が反対するケースもあり、丁寧な説明が求められる。国には全国一律ではなく、地域の実情に応じた柔軟な支援体制を求めたい。

 量の確保を急ぐあまり、保育の質向上が後回しになっている点が懸念される。

 代表例が2016年度に始まった企業主導型保育所だ。ずさんな経営による突然の撤退や助成金の不正受給が相次いだ。

 無償化の補助対象となる認可外施設は、保育士の配置など国の基準を満たさなくても5年間は認められる。これで親の安心につながるだろうか。

 保育の質は乳幼児の発達に大きな影響を及ぼすとされる。一足飛びにはいかないが、保育士の待遇改善と併せ、未来を担う子どもたちが育つにふさわしい環境の整備が必要だ。

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