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 東日本大震災からの事業再建を国などが支援する「グループ補助金」の交付事業者のうち、2018年度までに51業者が倒産したことが明らかになった。うち16業者を、被災地経済の柱となる水産加工が占める。

 「自助努力」が原則だった事業復旧に、グループ補助金は公費投入の道を開いた。熊本地震や西日本豪雨の被災地にも適用され、大災害からの復興施策として定着している。

 生活再建には、仕事の再生が欠かせない。中小の地場業者が被災し、多くの人の雇用が失われた阪神・淡路大震災の教訓が生かされた。

 だが業種を問わず競争が激しくなる中、復旧だけでは先が見通せない。販路拡大や海外進出など、付加価値を高める支援策も充実させる必要がある。

 グループ補助金は、複数の事業者による復興計画を県が認めた場合に施設復旧費の最大75%を支給する。岩手、宮城、福島の3県で、延べ約1万業者に5千億円弱の交付が決まっており、復旧への原動力となった。

 重要なのは、再開後も事業が持続できるかという点だ。

 事業を中断していた間に失った顧客を取り戻すには、以前よりも価格や品質などでメリットを打ち出す必要があり、その分だけ負担が増す。水産加工業では、サンマ不漁など原材料費の高騰も重荷となっている。

 当初のグループ補助金は、原状復旧に使途を限っていたが、4年前から新分野進出などに適用が拡大された。宮城県や岩手県などでは水産業者の高度化や人材確保に特化した補助制度も設けた。環境の変化に対応した事業再建への柔軟な後押しを求めたい。

 復旧費用の自己負担分には地元の第三セクターの無利子融資を使う例が多いが、5年の猶予期間が過ぎれば返済が始まる。想定通りに事業が動かなければ資金繰りに窮する。倒産は今後も増えるとの見方も根強い。

 8年前の震災発生時より被災地の人口減少や高齢化は加速している。自助努力だけに委ねて仕事の場が失われれば、地域の活力を取り戻す道筋はますます描きにくくなる。業界や地域全体で、一社でも多く持続するための知恵を絞ってほしい。

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