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 憲法は、同性カップルの結婚を禁じていない。真正面からそう認める司法判断が出た。

 同性カップルが相手の不貞行為によって破局した場合にも、異性間の関係と同じように慰謝料などが認められるかが争われた訴訟で、宇都宮地裁真岡支部は「実態に応じ、事実婚(内縁関係)に準じた保護を受けられる」として、別れた相手に110万円の支払いを命じた。

 日本では法律上の結婚が認められていない同性カップルであっても、法的保護に値するとした初の判決とみられる。

 同性婚を法律で認める国は欧米を中心に20カ国を超え、アジアでも台湾が今年5月に法制化した。日本でも同性パートナーを認証する制度を設ける自治体が増えている。性的少数者(LGBT)の人権を尊重しようとする国内外の動きを的確にとらえた内容と言える。

 判決は、ともに女性の原告と被告が約7年間同居し、同性婚を認める米国で結婚するなど「男女間の婚姻と同視できる」とした。価値観やライフスタイルが多様化した現代は「婚姻を男女間に限る必然性があるとは断じがたい」とも指摘した。

 さらに、憲法24条が婚姻の成立を「両性の合意のみに基づく」としているのは、制定当時は同姓婚が想定されていなかったからにすぎず「否定する趣旨とまでは解されない」との見解を示した。憲法が想定していないから同性婚を認めない、とする政府方針とは異なる解釈だ。

 全国5地裁で13組の同性カップルが、国に同性婚を認めるよう提訴している。LGBTを受け入れる動きは広がっているとはいえ、差別や偏見がなくなったわけではない。異性間の婚姻と比べ相続や医療現場などでさまざまな不利益がある。

 不安定な立場にある同性カップルに、法的保護の必要性を認めた判決の意味は大きい。

 一方で、慰謝料の額は異性間の相場より低く算定した。男女の婚姻と変わらないと認めながら、守られる権利の程度に差をつけた点は課題として残る。

 結婚の自由をはじめ自分の望むように生きる権利を誰もが持っている。判決を突破口に、多様な家族のかたちを認める法制度の議論を深めるべきだ。

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