社説

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 安全保障関連法の成立から4年が過ぎた。当時の混乱を改めて思い返したい。

 多くの若者らが連日、国会周辺で抗議の声を上げていた。国会内でも怒号が飛び交う中、自民、公明両党などが「数の力」で押し切った。直前の世論調査で6割超が成立に反対していたにもかかわらず、である。

 採決が強行された2015年9月19日を、政治の「転換点」とする見方がある。それ以降、共謀罪の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法の強行採決をはじめ政府、与党の国会軽視、議論軽視の姿勢がさらに際立つようになったという。

 懸念するのは、戦後日本の基本姿勢である「平和主義」の理念が骨抜きにされることだ。

 安保法成立で最も変わったのは、集団的自衛権行使に関する政府見解である。憲法9条の制約上「できない」とするのが歴代政権の立場だったが、安倍政権は百八十度転換した。

 その結果、自国が攻撃を受けていなくても、密接な関係にある他国が攻撃されれば、自衛隊は武力行使が可能になった。

 「国民の権利が根底から覆される明白な危険がある」などの条件は付いている。だが、大半の憲法学者が「違憲」と指摘している事実は重い。

 この4年、そうした疑問点が解消されないまま、南スーダン派遣部隊に「駆け付け警護」の新任務を付与するなど実績づくりが重ねられた。法治国家のあり方が問われる状況だ。

 自民党は「戦力不保持」などをうたう9条に自衛隊の存在を明記する改憲案を掲げる。憲法改正を「悲願」とする首相の意向を反映した動きである。

 だが、自民党案は自衛権の歯止めを明確に示していない。これでは安保法で部分的に容認された集団的自衛権行使が全面解禁される恐れが拭えない。

 そうなれば「専守防衛」は棚上げされ、9条の規定も空文化する事態になるだろう。

 立憲民主党などの野党は安保法廃止を主張する。与党の公明党も、自民党の9条改正案には慎重な構えを見せる。

 問題の多い安保法は一から見直す必要がある。もともと無理がある今の政府見解も百八十度転換し、元に戻してはどうか。

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