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 安倍晋三首相が掲げる「全世代型社会保障」の実現に向け、有識者と関係閣僚による検討会議の初会合が開かれた。

 見据えるのは3年後の2022年だ。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、社会保障費の急増が見込まれる。制度全体の改革は急務となっている。

 首相は子育て世代などにも支援を手厚くする考えだが、新たな財源の検討は行わないという。高齢化に伴い社会保障費の自然増だけで毎年数千億円に達することを考えれば、給付と負担の見直しは避けられない。財源のあり方に踏み込まない議論は説得力を欠くのではないか。

 重要なのは、負担が公平で、サービスの維持強化に結びつくと国民が安心し、納得できる制度を探ることだ。

 首相は先日の内閣改造で、社会保障改革の担当相を前官房副長官の西村康稔経済再生相に兼務させた。所管の厚生労働省に任せず、官邸が議論をリードしようとする意図が見える。

 主な課題として、希望すれば70歳まで働ける制度改正、年金受給開始年齢の70歳超への選択肢拡大などが挙がる。初会合では「年齢ではなく能力に応じた負担」「社会保障の支え手を増やす」などの意見が出た。

 いずれも既視感があるのは、既存の政府の会議でも代表を務める研究者や企業人が名を連ねるからだろう。

 医療費の窓口負担引き上げや厚生年金へのパート労働者らの加入なども重要な論点だが、医療・介護分野や労働団体の代表はメンバーに入っていない。

 年末には中間報告を、来年夏には最終報告を取りまとめる方針だ。日程ありきで公平性や所得の再分配などを軽んじる結果になってはならない。

 衆院議員の任期は折り返し点が近づき、おおむね2年以内に次期衆院選がある。懸念するのは、与党が国民に「痛み」を強いる問題を避け、野党は政局に持ち込もうと攻撃姿勢を強める展開だ。政治対立で議論が深まらず時間ばかりが過ぎれば、そのツケは国民に重くのしかかってくる。

 安倍政権は野党も含めた広範な意見を聴き、国民の理解を得ながら、持続可能な社会保障制度の姿を描かねばならない。

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