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 英最高裁は、10月末の欧州連合(EU)離脱期日の直前まで議会を閉会させたジョンソン首相の措置を違法とする判決を言い渡した。これを受け、議会は約2週間ぶりに再開した。

 「合意なき離脱」も辞さない構えで期日通りの離脱を目指すジョンソン氏には大きな打撃となる。それ以上に、一方的な議会の閉鎖で英国の民主主義を危機に陥れた責任は重い。

 EU離脱は全世界に影響を及ぼす重要課題である。ジョンソン氏は判決を真摯(しんし)に受け止め、離脱戦略の見直しも視野に、徹底的に議論を交わさなければならない。

 今回の措置は、国の重要局面で約1カ月間も議会を閉会させる異例の内容だ。ジョンソン氏は議会再開後に施政方針を示すためだと説明したが、反離脱派の女性活動家らが、議会内の反対勢力の封じ込めを狙った「権力の乱用だ」として無効を求める訴訟を起こしていた。

 最高裁の決定は、11人の判事の全会一致だった。議会には「(英国が)どのように変わるべきかについて発言する権利がある」と指摘し、「正当な理由なく議会の機能を妨げた」などと首相の対応を断じた。

 日本でも、安倍内閣が野党の臨時国会召集要求に約3カ月間応じなかったのは違憲として訴訟が起きている。英国に限らず、国会での議論は民主主義の基本である。

 ただ議会が再開されても、混迷を抜け出す道筋は見えてこない。英議会では既に、「合意なき離脱」に反対する勢力が離脱延期法を成立させている。政権が公約通り離脱を果たすには、EUと新たな合意を結ぶしか選択肢はなくなった。

 ところが、ジョンソン氏は延期法を無視してでも離脱を強行することを選択肢に入れているとされる。

 議会の閉会に対しては、与党内からも批判があった。野党陣営からは首相の辞任を要求する声も相次いでいる。ジョンソン氏が強硬姿勢を改めなければ、対立は激化するばかりだろう。

 求められるのは議論を一つずつ積み上げ、多くが納得できる結論を丁寧に導くことである。ジョンソン氏は反対意見にも誠実に耳を傾けるべきだ。

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