社説

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 千葉県を中心に首都圏を直撃した台風15号による大規模停電は、発生から2週間余りでようやくほぼ解消した。だが、損傷した家屋は数多く、住民の生活再建はこれからとなる。

 甚大な被害から見えてきたのは行政や電力会社の初動の遅れと、暴風災害への備えの不十分さだ。浮かび上がった多くの課題と向き合い、防災対策を抜本的に見直さねばならない。

 台風15号は、千葉市の最大瞬間風速57・5メートルなど各地で記録的暴風をもたらした。電柱の倒壊や電線の寸断によって最大93万戸が停電となった。

 昨年の台風21号では暴風による大規模停電が関西で発生し、気候変動による多発化と対策の必要性が指摘されていた。

 まして今回は台風通過後は連日の猛暑が予報され、冷房がない被災地では健康不安の懸念が高まっていた。国や県は多くの人々が通信手段も失っている状況を想定し、ヘリコプターなどで被害の全体状況を把握する方法も取れたのではないか。

 今回の災害で浮かび上がったのは応急的に「電気」を確保する発電機の重要性だ。道路の信号や携帯電話の基地局、水道のポンプなど、生活や交通を維持する最後のよりどころとなる。

 千葉県の防災倉庫には468台の発電機があった。しかし、約250台は眠ったままで、被災市町村の支援に貸し出されたのは6台のみだった。

 県の支援は市町村からの要請が基本とされる。だが、停電で通信環境が悪化した自治体では被害の情報収集は困難を極めた。情報を送ってこない地域こそ非常事態に陥っている可能性がある、という過去の大規模災害の教訓を忘れてはならない。

 重要なのは病院や防災拠点など必要な場所に必要な物資や人が届くことだ。災害対応の原点に立ち返り、国や県が積極的な役割を果たすため、どんなルールが必要かを議論すべきだ。

 電気と情報が寸断される暴風災害はどこでも起こりうる。日本では電柱の地中化が遅れており、人口密集地では直ちに大規模停電につながる。そのリスクが高まっていることを念頭に置いて、被災地の情報確保の手段や支援物資を確認し、対策強化を進める必要がある。

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