社説

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 バブル経済の崩壊などの影響で就職難に見舞われた「就職氷河期世代」を支援する動きが自治体で広がりを見せている。

 全国の市町村で初めて氷河期世代に限定した正規職員採用試験を実施した宝塚市では、3人の募集枠に対して全国から1600人余りが受験し、競争倍率545倍の狭き門となった。

 この世代を取り巻く厳しい雇用環境を映し出す光景である。兵庫県内では三田市も同様の職員採用を実施する方針だ。

 政府は6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」で集中支援を打ち出した。

 氷河期世代は、1993~2004年ごろに高校や大学を卒業し、現在は30代半ばから40代半ばになっている。支援対象は正社員を希望しながら非正規で働く人と、引きこもりなどで長い間仕事をしていない人を合わせた約100万人。今後3年間で30万人の正社員化を目指す。

 こうした人たちが十分な収入がないまま高齢化すれば、生活保護に頼るなどで社会保障費の膨張につながる。より安定した収入を得られるような支援策は、社会保障の持続性の面でも重要な課題だ。

 近年の「売り手市場」で加速する人手不足も追い風となっている。これまで、この世代の正規採用に二の足を踏んできた企業側が意識を改める好機だ。遅すぎた面はあるが、官民を挙げて進める必要がある。

 集中支援策は、各地のハローワークに専門窓口を設け、個々の事情に応じた支援計画を作った上で生活設計への助言から職場定着までを支える。行政と経済界が協力して求人を掘り起こし、面談や職場見学でマッチングさせる仕組みも築く。20年度予算編成の概算要求で計1344億円が計上された。

 一方で、数値目標を達成するための押しつけを懸念する声も現場には根強い。希望を失い、傷ついてきた人たちが前向きになるには時間がかかる。

 単独の自治体の取り組みには限界もある。厚生労働省は本年度、モデル事業を愛知、熊本県で実施すると発表した。

 地域の実情を把握し、企業や自治体とも連携して、一人一人の状況に応じたきめ細かい支援に取り組まねばならない。

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