社説

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 きのう消費税率が10%に引き上げられた。3度目の改定となる。

 生活に不可欠な社会保障費を支えるのが目的だが、幼保無償化の効果や軽減税率を差し引いても国民負担は2兆円の増加となる。実質賃金は7カ月連続で前年を下回っており、税の重さは増すばかりだ。

 2014年4月に税率を5%から8%に引き上げた際は、駆け込み需要の反動で個人消費が急激に冷え込み、日本経済はマイナス成長に陥った。その反省から今回、政府は軽減税率やポイント還元制度などの負担軽減策を導入した。

 しかし内容はいずれも複雑を極め、線引きにも曖昧な点が目立つ。消費減の回避に、キャッシュレスの普及という性格の異なる施策を組み合わせた結果、税の大原則である簡素さや公平性への目配りが十分なされたとは言いがたい。

 事業者も消費者も、負担軽減より戸惑いや困惑の方を強く感じているのではないか。これで消費が冷え込まずに済むかは疑問だ。政府は景気が後退に転じないよう注視し、的確な対策をとる必要がある。

 消費税には逆進性という構造的な欠陥がある。高所得者も低所得者も税率が同じなので、相対的に低所得者の税負担が重くなる。

 今回導入された軽減税率は、納税者の所得ではなく品目で税率を分けた。高所得者も食料品の消費税は8%となり、逆進性の改善には直接結びつかない。

 低所得世帯は割安に買い物できる商品券を購入できるが、利用できるのは来年3月末までだ。ポイント還元も来年6月までに限られている。一時しのぎの対策で、消費者の購買意欲にどれだけ影響を及ぼすかは見通せない。

 懸念するのは、日本経済を取りまく環境が、前回14年の引き上げ時より厳しくなっていることだ。

 米中貿易摩擦は収束の兆しが見えず、中東情勢もいつまた火を噴くかわからない。英国の欧州連合(EU)離脱は今月末に期限を迎え、最悪のシナリオとされる「合意なき離脱」も現実味を帯びている。

 きのう日銀が発表した9月の短期経済観測は、大企業製造業の景況感を表す業況判断指数が3四半期連続で悪化した。6年3カ月ぶりの低い水準である。増税による消費減も見据え、企業の慎重姿勢が強まれば、設備投資などにも影響が及ぶ。

 金融庁は撤回したが、国民は「老後2千万円報告書」を忘れていない。今回の増税も相まって社会保障への関心は高まっている。

 将来不安を和らげ、消費を刺激するためにも、安倍政権は社会保障の再構築を最優先の課題とすべきだ。

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