社説

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 臨時国会がきのう開会した。第4次安倍再改造内閣の発足後、初の論戦の場となる。

 4月以降、統一地方選と参院選が続いたこともあり、国会はこの半年審議らしい審議をしてこなかった。都合の悪い議論を避け、国会を軽視する政権の姿勢が表れている。

 この間に積み上がった課題は多岐にわたり、社会の将来像に関わるテーマが少なくない。安倍晋三首相と政府、与党は国民が抱く疑問や不安に正面から向き合い、真摯(しんし)な政策論争を心がけるべきだ。

 ところが、首相の所信表明演説は「令和の時代にふさわしい日本」「新しい時代の国づくり」といった抽象的なスローガンばかりが目に付き、差し迫った課題について解決の道筋を示したとは言いがたい。

 消費税増税に関して国内消費の下支えに全力を挙げ、世界経済の減速には「機動的かつ万全の対策を講じる」とした。少子化を「国難」と位置付け、全世代型社会保障制度改革に挑戦すると意欲を示した。

 しかし、年金や医療、介護を巡る負担と給付の将来像や、財政健全化の目標については語らなかった。

 異例のスピード決着となった日米貿易協定については「ウィンウィンの結論を得られた」と自賛したものの、交渉の経緯や国内への影響と対策についての説明は不十分だ。

 悪化する一方の日韓関係、北朝鮮による日本人拉致問題、北方領土問題など近隣外交の懸案も打開策が見えてこない。

 悲願の憲法改正には結びで短く触れるにとどめ、「国会議員がしっかりと議論し、国民への責任を果たそう」と呼びかけた。参院選で与党が勝利したとはいえ、数の力で衆参の憲法審査会を動かそうとしても幅広い合意は得られないだろう。

 改憲論議は、どんな国を目指すかが出発点である。改憲ありきの拙速な議論にしてはならない。

 野党にとっても正念場である。国会開会を前に立憲民主党と国民民主党などが統一会派を結成し、第2次安倍政権発足以降、最大の野党会派となった。

 単独では難しかったテーマの深掘りや、質問内容の振り分けなどで一体となって政権を追及できるかが鍵だ。「1強政治」に緊張感をもたらし、「多弱野党」を抜け出す一歩としなければならない。

 大規模停電で大きな被害をもたらした台風15号の初動対応、関西電力の金品受領と原発政策への影響、「表現の自由」を脅かす動きなども国会でただすべきテーマだ。

 与野党がそれぞれの責任を果たし、「言論の府」の機能を最大限発揮してもらいたい。

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