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 今年のノーベル平和賞は、隣国エリトリアとの国境紛争を平和裏に終結させ、地域の安定に尽力したエチオピアのアビー・アハメド首相に決まった。

 ノーベル賞委員会は、授賞理由に「平和と国際協力を実現するための努力」などを挙げた。国境紛争を抱える各国に一層の努力を促したと言える。

 エチオピアとエリトリアは1998年に紛争状態に陥り、2年間で推定10万人もの犠牲者を出した。和平合意後も両国軍のにらみ合いが続いていた。

 昨年4月に首相に就いた43歳のアビー氏は「争いでは問題を解決できない」と訴え、両国の関係改善を推進した。7月には約20年ぶりの首脳会談を実現させ、紛争の正式な終結で合意した。わずか3カ月で成し遂げた点には驚かされる。

 鍵となったのは決断力だ。

 ノーベル賞委員会が評価したのは、国際仲裁裁判所の仲裁裁定を、アビー氏が無条件で受け入れる意欲を示した点だ。エチオピアには不利な内容だが、対話による平和と和解への歯車が動き始めた。

 その後は、エリトリアと対立していたジブチやソマリア、さらには周辺国などの和平仲介にも乗り出した。混乱が続く地域で紛争を解決する際のモデルとなり得る取り組みだ。

 「自国第一主義」がはびこり、覇権を競い合う動きが世界で横行する中で、今回のアビー氏の受賞は対話がいかに重要であるかを教えられる。国際社会は直視せねばならない。

 アビー氏は内政でも変革に挑む。政治犯の釈放や複数政党制の実施表明、国営企業改革、女性閣僚の積極登用など、トップダウンで民主化の風を社会に吹き込もうとする姿に世界の注目が集まる。

 一方で暗殺未遂が発生するなど、国内の反発も強い。今回の受賞を追い風にできるか、政権運営の正念場である。

 日本政府は「アフリカ開発会議」を主導し、エチオピアの隣国南スーダンの国連平和維持活動に自衛隊を派遣するなど、アフリカ支援に力を入れている。

 アビー政権の挑戦を後押しし、アフリカの未来を切り開こうとする動きに積極的に関わっていくべきだ。

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