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 あまりにも一方的に過ぎる。地方が反発するのは当然だ。

 厚生労働省が再編や統合の検討が必要と判断した全国424の公立・公的病院名のリストを初めて公表した。兵庫県内の15病院も含まれている。地域ごとに議論を深め、来年9月までに結論を出すよう求めた。

 これに対して地方から「唐突で、住民の不安をあおるばかりだ」などと批判の声が相次いだ。井戸敏三県知事も「医師や医療機関の偏在に配慮がなく、やり方が乱暴過ぎる」と指摘している。

 総務省が仲裁に入った地方3団体と厚労省との協議の場で、全国知事会で社会保障を担当する平井伸治鳥取県知事は「本当ならリストを返上してもらいたい」と訴えた。

 地方側が問題視するのは、地域事情を考慮していない点だ。県内分でも統合済みの柏原赤十字病院(丹波市)や、数少ないリハビリ医療の拠点である県立リハビリテーション中央病院(神戸市西区)が含まれるなどリストのずさんさが目立つ。

 2017年度の報告データを基に診療実績などから分析したというが、機械的に導き出した「机上の空論」と言われても仕方がない。厚労省は丁寧さに欠けた対応を反省し、リストをいったん撤回すべきだ。

 地方の病院は住民の命を守るためになくてはならない存在である。地域の雇用を支えているケースもある。個々の事情を無視して再編・統合を進めれば地域の崩壊を招きかねない。厚労省はこうした地方の現実を軽く見ているのではないか。

 厚労省がリストの公表に踏み切ったのは、高齢化により膨張する医療費を抑制する狙いからだ。

 25年には団塊世代の全員が75歳以上となり医療費が急増する。厚労省はそれまでに全国で約5万床のベッドを減らし、リハビリ向け病床などに転換することで医療費の削減を図る方針だ。地方にも議論を促してきたが、思うように進んでいないとの焦りもあったのだろう。

 地域医療のあり方が問われているのは確かだ。公立病院の多くは赤字経営で自治体の財政を圧迫し、人口減少や医師不足で存続の危機に直面するところも少なくない。医療体制を維持するため再編・統合が避けられない場合は、通院しやすい公共交通機関の整備なども課題となる。

 いきなりリストを突き付けるのでなく、そうした自治体の取り組みを支えるのが国の役割ではないか。

 厚労省は今後、公表の経緯や目的について各地で説明するという。地域の実情を反映しないリストのままで、自治体側の理解を得るのは難しい。地方の意見を十分に聞き、議論の土台を築き直さねばならない。

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