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 台風19号は東日本各地に記録的な大雨を降らせ、甚大な水害をもたらした。洪水や土砂災害などに伴う死者と行方不明者は、東北、関東、中部の12都県で80人を超えるが、いまだ被害の全容は見通せない。

 濁流にのみ込まれた地域では、まだ水が深くて立ち入りできない場所もある。警察や消防、自衛隊などは取り残された人や行方不明者の捜索に全力を尽くしてほしい。

 台風19号の一番の特徴は、非常に多くの河川で堤防決壊や氾濫を引き起こしたことだ。

 広大な雨雲を伴った台風は静岡県の伊豆半島に12日上陸した。長時間大雨が続いたことから、大雨特別警報が過去最多の13都県で発表された。特別警報は、重大な災害発生の恐れが高まった場合に気象庁が発表しているが、昨年の西日本豪雨の11府県を上回る状況となった。

 堤防決壊は15日午後3時現在、長野や福島など7県で52河川73カ所に上る。2004年に兵庫県北部で起きた円山川や出石川の決壊を思い起こさせる水害が、これほど多数の河川で同時に起きたことに驚く。台風による降水量のすさまじさを示している。決壊に至らなくても、本流に流れを遮られて支流からあふれた水の氾濫に見舞われた地域も数多い。

 決壊が多発した原因の調査を急ぎ、各地の河川堤防の強化を進める必要がある。千曲川が決壊した長野市では、福祉施設などで大勢の高齢者らが孤立した。JR東日本の車両センターでは北陸新幹線車両10編成が水に漬かった。堤防が決壊した際に浸水が予想されるこうした公共的な施設などの防災対策も考えておかねばならない。

 今回のように広範囲で同時多発的に災害が起きれば、行政の対応にも限界がある。住民一人一人の災害への備えがより重要となる。

 氾濫した河川周辺では逃げ遅れて亡くなった人とともに、車で移動中に犠牲になった人も少なくなかった。こうした被害を減らすためにも、まず浸水ハザードマップなど身を守るための情報を自治体と住民が共有しておくことが欠かせない。さらに、雨量などの気象予報や河川の水位情報など避難の判断基準となる情報も普段から確認しておきたい。

 台風が勢力をあまり落とすことなく日本を直撃したのは近海の海水温上昇が要因とみられ、地球温暖化による影響が指摘されている。

 今回のような大型で強力な台風や西日本豪雨のような広域の気象災害は、今後も起こりうるだろう。気象災害がこれまでの想定を超えた新たな段階に入っていることを踏まえて、防災対策とともに温暖化防止への取り組みも進めるべきだ。

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