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 7月の参院選を巡る「1票の格差」訴訟で、高松高裁は最大3・00倍の格差を「常識的に考えて許容しがたい」とし「違憲状態」の判断を示した。選挙の無効請求は退けた。

 格差が3・08倍だった2016年の前回参院選について17年の最高裁判決は「合憲」と判断している。隣県同士を一つの選挙区とする「合区」を初めて導入し、それまで5倍前後で推移していた格差を一気に縮めた点などが評価された。

 今回さらに格差は縮小した。しかし高松高裁は、区割りを見直すことなく埼玉選挙区の2増と比例代表4増で済ませたのは「弥縫(びほう)策にすぎない」と断じた。

 最高裁の合憲判断は、国会が15年の改正公選法の付則に明記した「今回選挙までの抜本的な見直し」が前提だったとし、その前提が崩れているとも指摘した。抜本改革の約束を果たさず、格差を放置したまま選挙に臨んだ国会の怠慢を、厳しく批判した判決といえる。

 ところが自民党の世耕弘成参院幹事長は「われわれの不断の取り組みを理解してもらう必要がある」と判決に不満そうだった。その場しのぎの是正策では不十分だと司法が警告しているのに、切迫感に欠ける。

 二つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部に起こした一連の訴訟で最初の判決で、今後も厳しい判断が続く可能性がある。年内に各地の判決が出そろう見通しで、上告されれば最高裁が統一判断を示す。

 国会は最高裁の判断を待つことなく、速やかに選挙制度改革の議論を始めるべきだ。

 判決は、格差が2倍を下回った17年の衆院選と比べ、参院選は「大きく劣る」とした。投票価値の平等を厳格に求める姿勢を明確にした。

 ただ、人口減少と都市部への集中が加速する中、都道府県単位で1票の格差是正を進めれば、人口の少ない地方の声が国政に届きにくくなるとの懸念があるのも確かだ。

 判決は、合区にも言及した。

 対象となった四国4県の投票率は徳島県が全国最低となるなど低迷、無効票も多かった。これ以上の拡大は弊害が大きいと訴えた各県の選挙管理委員会に対し、「4県にのみ弊害を押しつけるのは、かえって妥当でない」とくぎを刺した。その上で「都道府県単位から離れた新たな選挙制度を検討するべきだ」と国会での取り組みを重ねて促した。

 最高裁も12年の判決で都道府県単位の見直しを求めている。「良識の府」として多様な民意を反映し、独自性を発揮するためにどんな制度がふさわしいのか。二院制における参院のあるべき姿を突き詰める議論から始めねばならない。

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