社説

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 台風19号による記録的な風水害の発生からきょうで1週間となる。政府は、被災した人の行政手続きなどに特例措置を適用する「特定非常災害」に指定した。

 死者・行方不明者は関東、東北、甲信越の12都県で80人以上に上っている。犠牲者の半数超は、浸水や洪水によるものだ。

 河川の堤防の決壊による浸水面積は2万3千平方メートル超と昨年の西日本豪雨を2割以上も上回る。日ごろは穏やかな流れが、濁流となって街をのみ込む怖さを思い知る。

 住居を奪われ、避難所で暮らす人は4千人に達する。道路の寸断でいまだ孤立している集落も少なくない。厳しい冬がくるまでに生活再建の一歩を踏み出せるよう、政府、自治体だけでなく民間も総力を挙げて支援しなければならない。

 被害が拡大したのは、千曲川や阿武隈川といった広域を流れる河川が氾濫したためだ。数多くの支流から大量の雨水が流入し、蛇行する場所で堤防が決壊した。合流できなくなった水は支流からあふれ出した。昨年の西日本豪雨でも見られた「バックウオーター」現象である。

 想定外の災害とは言い切れない。流域の自治体が策定したハザードマップと、被害状況はほぼ一致する。当初から流量が増す予測があれば、自治体の避難呼びかけや住民の行動もより緊迫度を増していただろう。

 だが台風の上陸地点は、東北や甲信越から離れた伊豆半島だった。気象庁は予測される大雨の規模を61年前の「狩野川台風」に匹敵するとしたが、このときは伊豆半島や関東に被害が集中した。

 上陸後に弱まる過去の台風のパターンと相まって、自分たちの地域は安心と考える「正常性バイアス」につながった可能性が否めない。

 19号は上陸後も強い勢力を保ち続け、全国の100地点以上で観測史上1位の降水量を記録した。温暖化で自然災害の姿は一変しつつある。その点を踏まえ、効果的な予報や警報のあり方を考える必要がある。

 国民も過去の経験だけで判断するのではなく、最新の情報を入手して早めの避難を心がけたい。

 被災地には全国の自治体やボランティアが復旧支援に向かっている。兵庫県からも、長野や宮城などに官民の先遣隊が派遣された。兵庫から被災地に何ができるかを考えたい。

 将来の発生可能性が高い南海トラフ地震では、西日本の多くの府県で深刻な災禍が見込まれる。被災地の周辺にとどまらず、全国から救援の手が届かなければ、被災者の生活再建は見通せなくなる。

 自然災害の広域化を見据え、支援の仕組みを築き直さねばならない。

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