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 東京五輪のマラソンと競歩の会場を札幌市に変更する案が急きょ浮上した。国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が大会組織委員会と決めたと述べ、札幌開催が確実な情勢となっている。

 真夏の東京での競技実施は選手の命と健康に関わるとの批判は早くから上がっていた。常識的な判断がなぜできなかったのか。あまりにも遅すぎる。

 東京開催を前提に調整してきた選手たちへの影響を最小限に抑え、大会運営に混乱を生じないよう、丁寧な説明と迅速な準備が必要だ。

 唐突な開催地変更のきっかけは、9月に中東ドーハで開かれた陸上の世界選手権だった。

 暑さ対策で異例の深夜に実施したにもかかわらず、30度超の過酷な環境で女子マラソンは4割以上の選手が棄権した。男子の50キロ競歩も「完歩率」は61%だった。「地獄」「死ぬかもしれない」などの選手らの声は、ドーハと同様に酷暑の東京五輪への不安へとつながった。

 東京五輪では、暑さ対策としてスタート時間の繰り上げや、路面温度を抑える遮熱性舗装などが実施される。だが、高温多湿に加え、強い日差しを浴びることを考えれば、根本的な対策は困難とされてきた。

 選手にとって競技環境は改善されるが、遅い決断は現場関係者への大きな負担となる。コース選定や運営体制、選手や観客の受け入れ、販売済みチケットの扱いなど課題は山積みだ。1兆3500億円とされる開催費はさらに膨らみかねない。

 もとをたどれば、東京誘致の際の「アスリートに理想的な気候」という酷暑の現実とかけ離れたアピールから問題は生じている。夏開催を求めるIOCの意向に沿い、無理を通そうとしたことで、アスリートファーストとはとても言えない五輪の計画が形作られてしまった。

 猛暑の危険性が懸念される屋外競技は多数ある。とりわけ下水道の汚水が懸念されるトライアスロンなどは競技環境自体に極めて問題が大きい。気温上昇によって中止の可能性がある競技もある。競技環境に不公平が生じないよう、選手の声に耳を傾けて早急に各競技の運営方法を検討し直すべきだ。

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