社説

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 神戸市立東須磨小学校で起きた教員間の暴行・暴言問題を受け、全国でも異例の条例改正が神戸市議会でスピード成立した。

 重大な違法行為で起訴の恐れなどがある職員に対して、本人の意に反して休職させる「分限処分」にした上で、給与を4割から全額までの範囲で差し止めることができる。

 実際の差し止め額は、弁護士らによる分限懲戒審査会の意見を踏まえて決める。東須磨小の加害教員4人について、市は全額不支給を念頭に置いている。

 本紙の報道で明るみになった暴行や暴言などは犯罪行為に等しく、言語道断である。加害者の厳正な処分は当然といえる。

 しかし、このたびの条例改正は大きな問題をはらんでいる。

 市幹部は「よほどのことがない限り、条例が適用されることはない」と説明する。だが、市長の意向に沿わない職員が処分される可能性はゼロではない。市政トップの「暴走」を防ぐ仕組みが機能しなければ、市政が信頼を失う恐れもある。

 強い「世論」に押されて、十分な議論の時間を取らずに条例成立に至った経緯にも危うさを感じる。

 加害教員らは今月1日以降、有給休暇の扱いとなっている。現行では自宅謹慎の制度がないためだが、市民などから苦情が殺到している。そのため市は条例改正を急いでいた。

 公務員の身分保障を制約する内容でもあり、市議会にはいつにも増して慎重な審議が求められた。

 だが結局、市当局による議案説明からわずか5日での成立となった。「議論が長引くほど世間の批判を浴びる」という与党議員の声が、議場の空気を表している。市当局を監視する立場でありながら、非難の矛先が向くのを恐れて熟議を避けたのであれば、残念と言うしかない。

 教育委員会は首長に直属しない独立機関である。教育が政治に左右された戦前の反省に立っている。

 しかし東須磨小の問題では、市教委が状況を把握できていないなどの機能不全も明らかになった。

 久元喜造市長は11月1日付で「教育行政支援課」を市企画調整局に置くことを表明し、教育委員会のガバナンス(統治)強化や組織改革を支援するという。

 今回の事態が極めて異例であるのは確かだ。とはいえ市の関与を強めれば、教育行政の継続性や中立性が損なわれるのではないかとの懸念が拭えない。

 まず市教委が危機感を持って学校現場と連携し、主体的に混乱収拾と問題解決に取り組まねばならない。受け身のままでは、失われた信頼を取り戻すのは難しい。

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