社説

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 神戸市立東須磨小学校の教員間暴行・暴言問題で、市教育委員会は加害側の教員4人を分限休職処分とし、給与の全額を差し止めた。

 これに先立ち、弁護士らでつくる市教委の分限懲戒審査会が開かれ、「処分は不相当」と結論づけた。それを押し切っての決定である。

 諮問した市教委は、審査会の意見に拘束力はないと会見で言い切った。久元喜造市長は審査会に対する詳細な反論コメントを出した。いずれも異例の反応といえる。

 加害教員の行為は非難されるべきで厳正な処分は免れない。だが市教委と市の対応には危うさを感じる。

 審査会には処分の乱用に一定の歯止めをかける役割が期待されていたはずだ。これでは何のための審査会か、疑問を抱かざるを得ない。

 市役所や学校には、加害者が有給休暇の扱いとなっていることへの苦情が殺到している。そうした「民意」を盾に、結論ありきで事を急いでいるように映る。

 公平、公正の観点から、悪(あ)しき前例になりかねない。冷静に処分の経緯を振り返る必要がある。

 市長が加害者4人の給与差し止めを念頭に、職員処分の条例改正の方針を表明したのは10月24日だ。その後わずか1週間で、市議会での可決を経て分限処分が決まった。

 本紙は社説で、このたびの条例改正には問題があると指摘してきた。

 法律は本来、事後につくったルールで不利益を課す遡及(そきゅう)措置はできないとされる。改正条例の適用はこの原則に触れる可能性が否定できない。特に公務員の身分保障を大きく制約する内容であるだけに、運用には慎重さが求められる。

 審査会は「正確な事実認定と厳格な判断・解釈が必要」と指摘した。その上で「(分限処分ではなく)懲戒処分で判断するべきだ。加害教員4人の行為には軽重があり、一律には論じられない」としている。うち1人が処分の取り消しを求め、市人事委員会に審査請求した。

 恣意(しい)的な運用を防ぐ仕組みが目に見える形で機能しなければ、市政への信頼が失われる恐れがある。この点を改めて強調したい。

 事実関係を明らかにするため、第三者委員会の調査が進んでいる。年内をめどに結果をまとめ、再発防止策も提言するという。

 調査結果を待たずに条例改正を成立させた市議会に、厳しい視線が注がれているのも事実だ。市政を監視する立場から「議論を尽くしたのか」との声に向き合ってほしい。

 懲戒処分が出るまで職員に「自宅謹慎」などを命じる制度が必要というのであれば、市と市議会はもっと時間をかけて検討するべきだった。

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