社説

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 首相が主催し、各界の功労者を慰労する「桜を見る会」に、安倍晋三首相の地元後援会員が多く招待されているとの疑惑が浮上した。

 先週の参院予算委員会で共産党議員が指摘した。首相は関与を否定し「各界で功績のあった方と後援会員が重複することもある」などと述べた。かなり苦しい言い訳だ。

 地元事務所が会と観光を組み合わせた後援会向けのツアー参加者を募り、今年は17台のバスが用意されたとの証言も出てきた。

 事実なら、公的行事を後援会活動に利用した疑いが持たれる。有権者への利益供与を禁じる公選法や、収支報告の記載を義務付ける政治資金規正法に触れる恐れもある。

 首相の政治活動に突きつけられた重大な疑惑である。自ら事実関係を明らかにし、国会で説明責任を果たすべきだ。

 桜を見る会は1952年から始まり、東京の花見の名所「新宿御苑」で毎年4月に開かれる。開催要領によると皇族や国会議員、各国駐日大使の他、「各界の代表者等」として芸能人やスポーツ選手も招かれる。民主党政権でも催された。

 問題は、第2次安倍政権で予算や人数が急増した点だ。例年約1700万円の予算額に対し支出が毎年オーバーし、今年は約5500万円に達した。招待客は目安の約1万人を大幅に超え、約1万8千人に膨らんだ。首相や与党幹部らの後援者を正当な理由もなく紛れ込ませたとすれば、行政の中立、公正性を傷つける悪質な行為と言わざるを得ない。

 内閣府が招待者名簿を「遅滞なく廃棄した」としているのも不自然だ。実際、萩生田光一文部科学相は、文科省が過去に作成した推薦者名簿を保存していると明らかにした。

 やましい事がないならば全体の名簿を公表し、一刻も早く国民の疑念を解消する必要がある。

 菅義偉官房長官は、来年の開催を中止し、選定基準や規模を見直す考えを表明した。素早い対応で勢いづく野党の追及をかわし、政権批判を沈静化させる狙いだろう。

 会場で後援者らと撮った写真をホームページなどから慌てて削除した政権幹部らの姿は滑稽ですらある。

 だが臭い物にふたでは国民は納得しない。開催状況を検証し、問題点を明らかにするのが先である。

 自民党の二階俊博幹事長は「選挙区の皆さんに配慮するのは当然だ」と発言した。法を軽んじるような姿勢が、相次ぐ「政治とカネ」問題の温床になっているのではないか。

 安倍政権は間もなく歴代最長となる。権力は必ず腐敗する。歴史の戒めを肝に銘じ、自らの責任で疑惑を晴らさねばならない。

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