社説

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 天皇陛下の即位を披露するパレードが行われ、天皇、皇后両陛下が沿道の祝福に手を振って応じられた。

 当初は先月の「即位礼正殿の儀」に続いて行われる予定だったが、台風被害を考慮して延期された。前日の「国民祭典」で、陛下は台風などの被害に言及され、「深く心を痛めています」と述べられた。

 被災地を訪ね、傷ついた人々に言葉をかける。上皇さまが実践してこられた「国民と共にある皇室」を、引き継がれるお気持ちだろう。

 5月の即位から続いた国事行為としての「即位の礼」の儀式は、全て終了した。きのう始まった「大嘗祭(だいじょうさい)」は憲法が定める「政教分離」に反する神道色が否定できず、「公的な皇室行事」との位置づけだ。今の時代にふさわしい皇室像について、国民的な議論を深めねばならない。

 今回、一連の儀式で女性が多い皇室の現状が改めて印象付けられた。

 皇室典範は、皇位は「男系の男子」が継承すると定めている。現在、資格を持つのは秋篠宮さま、秋篠宮さまの長男悠仁さま、上皇さまの弟常陸宮さまの3人だけだ。

 秋篠宮さまから悠仁さままで約41年間も男子が誕生しなかった。常陸宮さまは80代のご高齢で、秋篠宮さまも50代だ。将来にわたって皇位の安定的な継承を実現するには、まだ若い悠仁さまが結婚して男子が生まれるのを待つしかない。

 事態を打開するために提起されたのが、女性・女系天皇に道を開く考え方である。小泉政権時の2005年、有識者会議が「皇位の安定的な継承を維持するためには不可欠」とする報告書をまとめている。

 悠仁さま誕生で議論は下火になったが、状況は同じだ。女性皇族が結婚後も皇室活動を継続する「女性宮家」創設と併せ、近く政府が再開する議論を前に進める必要がある。

 衆参両院も、上皇さまの天皇退位を実現させた特例法に関する付帯決議で、皇位継承の課題や女性宮家の創設などを速やかに検討し、国会に報告するよう政府に求めた。

 安倍晋三首相は、もともと女性・女系に否定的な立場とされる。自民党の保守系議員らも、戦後皇籍を離脱した旧宮家の復帰を提言するなど、反対の動きを見せている。

 確かに、天皇制はこれまで男系によって継承されてきた。菅義偉官房長官も「慎重かつ丁寧に検討を行う必要がある」とする。

 だが、論点は出尽くしており、これ以上の先送りは許されない。共同通信の世論調査では、女性天皇に82%、女系天皇に70%が賛成している。「伝統」にこだわって皇室自体の存続が揺らぐようでは、国民の思いに背を向けることにならないか。

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