社説

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 首相主催の「桜を見る会」を巡る疑惑が膨らみ続けている。

 先週の国会質疑で、安倍晋三首相が招待者の推薦について「相談を受ければ、意見を言うこともあった」と自身の関与を一転して認めた。

 これまでは人選への関与を否定しており、野党は「虚偽答弁」と攻勢を強めている。首相は「最終的な取りまとめには一切関与していない」と弁明したが、軌道修正したのは明らかだ。早々に反省の意を示し、幕引きを急ぐ狙いだろう。

 だが、そうはいかない新事実が次々と浮上してきた。

 菅義偉官房長官が明らかにした推薦枠の内訳は、自民党に6千人、首相に千人、副総理、官房長官らに千人程度だった。私人であるはずの昭恵首相夫人の推薦もあった。

 約1万8千人の招待者のうち、各省庁が推薦した功労者らを大きく超える数が「政治枠」だった計算だ。首相官邸を中心とする私物化の実態は想像をはるかに上回る。

 3年前には警備上の理由から招待客の削減案が検討された。だが、その年の夏に参院選を控えた与党議員の支援者が多数参加できるよう、見送られた経緯も明らかになった。

 その後も、招待者数と経費は野放図に膨らみ続けた。税金で酒食を振る舞う行事が、与党の「選挙運動」の場と化していたと批判されても仕方あるまい。

 政府が公表した省庁推薦の推薦名簿は、6割が黒塗りだった。一方、首相ら政治枠の名簿は野党が資料請求した当日に廃棄したという。証拠隠しを疑われて当然の不自然な対応である。

 会の前日、都内の有名ホテルで開かれた首相の後援会向け夕食会の資金問題は、さらに根が深い。

 1人5千円の会費は安過ぎる、と野党は指摘する。不足分を首相事務所が穴埋めしていれば、買収を禁じる公選法に抵触しかねない。

 首相は「参加者の大多数が宿泊する事情を踏まえ、ホテル側が設定した」と説明した。会費は出席者がホテルに直接支払っており、政治資金収支報告書への記載がないのは当然とも述べた。

 明細書もないという。800人規模のイベントで、一流ホテルが見積書や明細書を発行しないとは考えにくい。都合の悪い文書はなかったことにするのか、という国民の疑念は深まるばかりだ。

 「政治とカネ」の問題で多くの閣僚が辞任に追い込まれた。今回は首相の退陣に直結する問題である。

 「指摘は当たらない」と主張するなら、首相は必要な資料を公表するとともに国会の集中審議に応じ、自ら疑惑を解消しなければならない。

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