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 軍事上の機密情報を日韓で提供し合う軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)が、失効寸前で一転、維持されることになった。韓国は「破棄」を通告していたが、先週金曜日のぎりぎりの段階になって通告の効力停止を表明した。

 北朝鮮が弾道ミサイルの発射を続ける状況下で、両国の軍事連携に亀裂が入れば、安全保障の体制が揺らぐ恐れがある。方針転換の背後には、事態を憂慮した米国の圧力があったとみられる。

 国際政治の力学が水面下で働いたとはいえ、日韓がさらなる関係悪化を避け、対話を約束し合ったことは評価したい。失効回避を真の改善への糸口としなければならない。

 GSOMIAは3年前に発効し、1年ごとに更新されてきたが、8月に文在寅(ムンジェイン)政権が破棄の方針を一方的に伝えてきた。そのままでは23日午前0時で失効する瀬戸際だった。

 そもそも韓国には、日本が7、8月に打ち出した半導体材料の輸出規制強化や輸出管理の優遇国待遇からの除外に対抗する狙いがあった。

 だが、軍事機密情報が日韓で共有されなくなれば、米国を軸とした3国の連携に影響が出かねない。そうなれば、力を誇示する中国やロシアを利することにもなる。

 そのため米国は「GSOMIAは米韓の問題だ」と、高官を派遣するなどして強く撤回を迫った。米軍駐留費の負担増や在韓米軍縮小もほのめかしたとみられ、最終的に韓国が矛を収める形になった。

 今回、韓国は輸入規制問題で日本を世界貿易機関(WTO)に提訴した紛争解決手続きの中断も伝えてきた。これを受けて日韓当局は輸出規制問題で課長級、局長級の実務対話を始めることになる。

 来月の日中韓首脳会談に合わせ、安倍晋三首相と文大統領の会談を中国で開く方向でも調整が進められている。両首脳はもつれた糸を解きほぐし、隣国関係を立て直す責任を自覚して臨んでもらいたい。

 ただ、対立の要因となった元徴用工の問題は未解決のままだ。日本企業に賠償を命じた韓国最高裁の判決確定を、日本は「国際法違反の状態」と批判する。一方の韓国も「GSOMIAはいつでも終了させられる」と強気をのぞかせる。

 互いに「非は相手にある」との姿勢を取り続ければ、再びこじれる可能性がある。植民地時代にさかのぼる問題は、双方の国民感情にも影響を及ぼす。時間をかけて解決を模索する以外に道はないだろう。

 経済や安保、民間交流などを重視する対応が隣国同士の信頼を育む。対話を断ち切るような言動は今後、どちらの関係者も慎むべきだ。

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