社説

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 税金の使い方をチェックする会計検査院の2018年度決算検査報告が公表された。無駄遣いや制度改善が指摘されたのは335件、総額1002億3058万円に上る。

 今回、検査院は災害対策予算の点検に重点を置いた。自然災害のたびに露呈するインフラの不備を事前に指摘し、国や自治体の早急な対応を求めるのが狙いだ。

 その結果、国民の命と財産を守る責務を忘れたかのような予算執行の実態が続々と明らかになった。

 台風19号では、住宅地に近い「防災重点ため池」が東北や関東の計12カ所で壊れ、被害を拡大させた。検査院が全国約1万カ所を調べたところ、自治体が国の指針より緩い基準で耐久性を判定していたものが約4割もあった。

 河川管理施設や下水処理場などで水門や排水ポンプを動かす電気設備の耐震調査は約6割で実施されず、ダムや取水施設などの管理施設で震度6程度以上に耐える設計基準を満たしたのは約1割しかなかった。

 震度6強~7程度の地震で倒壊の危険性が高いと診断され、交付金を受けて耐震診断を実施したホテルや病院などのうち約4割は未改修のまま。自治体が改修したかの確認をしていない建物も少なくない。

 毎年のように大災害に見舞われながら、行政の危機感があまりに乏しいことに驚く。災害はいつ、どこでも起こりうる。「備え」に税金を投じることで減災を可能にし、復旧・復興費の削減につなげる意識が必要だ。自治体は指摘を重く受け止め、予算執行に努めねばならない。

 無駄遣いと同様、見過ごせないのは、日本が米国の提示した額で戦闘機やミサイルなどを前払いで購入する「対外有償軍事援助(FMS)」のずさんな契約実態である。

 国会の要請を受けて検査院が調べた結果、日本が前払い金を支払ったのに納期を過ぎても納品されなかったり、過払い金が精算されていなかったりした契約が17年度末時点で653件、未精算額は約1400億円に上った。9年過ぎて納品されていないケースもあるというから、本当に必要な装備なのかも疑わしい。

 FMSは第2次安倍政権発足後、最新鋭ステルス戦闘機F35Aの取得などで一気に膨らみ、防衛費肥大化の一因と指摘される。19年度予算では7千億円を超えた。米の言い値で高い買い物を強いられ、現場へのしわ寄せも懸念されている。

 米とFMS契約額の一部を減免する協定を結んでいる国が複数あるのに日本はなぜ結ばないのかも疑問だ。検査院が検討を求めたのは当然だろう。政府は適正な価格交渉と情報公開に努めなければならない。

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