社説

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 インターネット空間のライバルが手を結んだ。検索や通販などを手がけるヤフーの親会社Zホールディングスと、会員制交流サイト(SNS)で数多くの顧客を有するLINE(ライン)の経営統合である。

 電話や金融、スマホ決済など、両社の事業分野は多岐にわたる。統合で多くの利用者を囲い込み、米アップルやフェイスブックなど世界的なIT大手に対抗する狙いだ。

 一方、検索や商品購入のデータ、やりとりしたメッセージなど、両社で国内1・3億人分にのぼる利用者の情報が、統合により独占される点には不安が募る。

 欧米では、ひと握りの大手IT企業が市場を独占することに厳しい視線が向けられている。日本勢がグローバル市場を勝ち抜くための戦略とはいえ、利用者保護に最大限の努力を払ってもらいたい。

 ヤフー・LINE連合は、国内のネット関連企業では優位に立つ。しかし世界市場での存在感は決して大きくない。利用人数はフェイスブックの1割、売上高はアップルの4%弱にとどまる。中国勢にも大きく水をあけられている。

 規模拡大で研究開発を手厚くすれば、さらに便利なサービスを投入して顧客を増やす好循環につなげられる。例えば、SNSやスマホ決済などを一つのアプリで済ませられる「スーパーアプリ」の投入だ。先行する中国企業はすでにこうしたアプリを開発している。

 今回の統合では、人口増や経済発展が続く東南アジア市場に期待がかかる。LINEはタイや台湾のSNS市場で最大のシェアを持っているほか、ベトナムなどでも利用者が多いだけに、今後のアプリ開発次第では米中のライバルに伍(ご)して顧客を増やすシナリオも描ける。

 一方で、国内市場は人口減にさらされている上、数多くの電子マネーが顧客を奪い合うなど乱立状態にある。今回の統合をきっかけに、ネット業界全体が統合や淘汰(とうた)の波にさらされる可能性がある。

 懸念するのは、競争状態が低下することの弊害だ。

 ITの世界では、サービスの利用者よりもサービスに必要な基盤を提供する運営業者の方が力を持つ。すでに旅行のサイトでは、運営業者が自社サイトで最安値の価格を設定するよう出店業者に要求し、独禁法違反の疑いで公正取引委員会が検査する例があった。

 今回の経営統合は、公取委など関係国の競争政策関連省庁による認可が前提条件となる。企業の生き残りのために消費者や他の事業者の利益が損なわれるのでは本末転倒だ。厳しい審査を求めたい。

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