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 デモが続く香港の人権や自治、民主主義を支援する米国の「香港人権・民主主義法」が、トランプ大統領の署名により成立した。

 香港の高度な自治を認めた「一国二制度」を中国が順守しているか米政府が毎年検証することを定めており、人権侵害に関与した当局者に制裁を科すことも可能になる。

 米上下両院では圧倒的な支持で可決されていた。だが中国を刺激するだけに、米中貿易協議への影響を考えトランプ氏は署名しないとの見方もあった。

 しかしトランプ氏が拒否権を発動しても、再採決による成立は確実な状況だっただけに、署名せざるを得なかったのだろう。

 中国政府は「内政干渉」と猛反発し、米国に報復措置を取る構えを見せている。米中対立がさらに激化すれば国際社会の混迷は深まる。

 中国は、香港市民の声に真摯(しんし)に向き合うべきだ。米国にも対立解消への努力を求めたい。

 先日の香港区議会(地方議会)選挙では、抗議活動を支持してきた民主派が8割超の議席を得て圧勝し、親中派が惨敗した。

 民主派の過半数獲得は、1997年の中国への香港返還後初となる。投票率は70%超と前回を20ポイント以上も上回り、返還後最高を記録した。このことも、来年の大統領選を控え世論の動向に敏感なトランプ氏の署名決断に影響したのではないか。

 民主派は、警察の「暴力」を追及する独立調査委員会設置▽▽デモ参加者の法的責任免除▽普通選挙導入-などの要求を掲げ選挙に臨んだ。勝利の勢いに乗り、要求実現へ今後も活動を継続する方針だ。

 今回の民主派圧勝は、「逃亡犯条例」改正案に端を発した香港政府への怒りの表れだ。それに加え、中国の習近平指導部が「一国二制度」を形骸化させているとの市民の危機感が原動力になった。

 デモ隊への香港警察の対応は実弾発射にエスカレートしている。デモ参加者には犠牲者も出た。習指導部が市民の反発にいっそう神経質になり強硬姿勢で臨んだ結果と言える。

 だがそれでは、抗議活動も激しさを増すばかりだ。犠牲者がさらに増える可能性もある。習指導部と香港政府はまず強権を改め、市民との対話へとつなげるべきだ。

 区議選終了直後、香港中心部の金融街では政府に抗議するデモに数百人が集まった。

 国際金融センターの一角を占める香港の混迷が深まれば、国際社会での中国の信用や発言力を低下させることにもつながる。そのことを習指導部は、重く受け止めなければならない。

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