社説

  • 印刷

 政府が3年ぶりに経済対策を決めた。10月の台風19号などに見舞われた被災地の復旧や防災対策に加え、中小企業の設備投資などを促す狙いがある。

 事業規模は26兆円となり、国と地方の財政支出は計13・2兆円にのぼる。うち6・2兆円を、2019年度補正予算案と20年度予算案に計上する。

 当初は防災面を中心とした補正予算編成が検討されていたが、安倍晋三首相が経済対策を盛り込むよう指示した。二階俊博自民党幹事長が「10兆円を下らない規模」と発言したことなどで、与党内に金額ありきの空気が強まり規模が膨らんだ。

 財源の大半は国債で賄う。10月に消費税率が10%に引き上げられたばかりだ。国民に負担増を強いても、予算膨張に歯止めがかからず借金が増えるのなら、財政再建は道遠しである。

 経済対策には災害関連として河川の水位上昇を防ぐ工事への補助や、市街地の地下に雨水をため込む施設などのインフラ整備などを盛り込んだ。19号で被災した施設の復旧や強化と並行させる。

 温暖化による自然災害の激化が予想され、必要なインフラ整備は急がねばならない。しかし想定外の災害が続発する中、ハード面に頼る被害軽減には限界がある。避難計画の策定や住民間での共有など、ソフト面の対策強化にも注力すべきだ。

 一方で、小中学校に1人1台のパソコン配備や、中小企業支援の基金設立など、実効性に疑問符がつく項目も目立つ。パソコンの指導教員をどう確保するのか。乱立気味の既存基金との差別化をどう図るのか。

 補正予算は当初予算より査定が甘くなりがちとされる。規模ありきで、実効性を煮詰め切れていない施策を詰め込んだのではとの疑問も抱く。

 世界経済の減速で企業収益が悪化し、19年度の税収は予想を大幅に下回りそうだ。首相は今回の対策で「アベノミクスを加速」と意気込むが、成長による税収増で財政再建を図る筋書きは実現性が乏しくなっている。

 政府は、政策支出を税収の範囲に抑える「プライマリーバランス」を25年に達成する目標を変えていない。それならば政策効果を厳しく見極めるべきだ。

社説の最新
もっと見る

天気(1月28日)

  • 14℃
  • 10℃
  • 70%

  • 15℃
  • 6℃
  • 60%

  • 14℃
  • 9℃
  • 70%

  • 14℃
  • 8℃
  • 70%

お知らせ