社説

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 中国北西部・新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族に対する中国政府の弾圧に、国際社会の批判が高まっている。

 以前から取り沙汰されていた問題だが、ここにきて注視されるようになったのは、抑圧の実態を記した中国当局の内部資料が明らかになったからだ。ハイテクを駆使した非人道的な監視体制は、SF映画が描く暗黒社会そのものである。

 中国政府は「テロ対策」の取り締まりの一環として正当化している。だが実際は容赦ない人権侵害であり、断じて許されない。

 内部資料は、共同通信社が参加する国際調査報道ジャーナリスト連合が入手し、公表した。

 人工知能(AI)を駆使した大規模監視システムを構築し、カメラの映像などを解析することで、多くのウイグル族を潜在的「危険分子」と決めつける。

 治安当局はシステムの命じるまま、恣意(しい)的な拘束を続け、収容所に送り付ける。

 収容所内ではウイグル語でなく中国語を使わせる方針も判明した。民族文化を踏みにじり、同化を強いるやり方は恐怖すら覚える。

 米国では、ウイグル人権法案が圧倒的多数の賛成により下院で可決された。抑圧に関わる中国当局者に制裁を科すようトランプ政権に求める内容だ。上院での可決と、トランプ大統領の署名で成立する。

 米議会は先月、デモが続く香港の人権や自治、民主主義を支援する香港人権法を成立させており、中国へのさらなる圧力と言える。

 中国政府は香港人権法が成立したときと同様、「内政干渉だ」と反発し、対抗措置を打ち出す構えだ。

 貿易協議を抱える中国との関係悪化を避けたいトランプ大統領が、署名に応じるかは見通せない。しかし人権や民主主義を外交の柱としてきた米国は、厳然とした姿勢を貫くべきだ。

 中国ではチベット族などへの弾圧も指摘されている。民主派や宗教組織にも示す習近平指導部の強硬姿勢は、国際社会が共有する人権や自由などの価値観と相いれない。

 各国は非難の声を高め、弾圧を直ちにやめるよう、連携して中国政府に働き掛けねばならない。

 弾圧のための機材には日本企業の部品が使われた恐れがある。結果的に抑圧の一端を担っている可能性があることも自覚しておきたい。

 来年、習氏を国賓として迎えるなど、安倍政権は中国との関係改善を急いでいる。多様な民族文化や宗教を尊重し、人権を重視する社会を築くよう強く求め続けることも、隣国としての責務である。

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