社説

  • 印刷

 総務省が昨年6月に始まったふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外したのは違法だとして、市が除外取り消しを求めた訴訟の判決で、大阪高裁は請求を棄却した。

 判決理由で裁判長は、地場産品と無関係なギフト券贈呈などを見返りに多額の寄付金を集めた泉佐野市を「制度の趣旨に反する不適切な方法で、著しく多額の寄付金を得た」と批判した。

 一方で「総務相に裁量権の逸脱や乱用はなかった」とし、国の主張を全面的に認めた。

 市は上告する方針で、対立は長期化が避けられなくなった。

 判決が指摘するように、極端な手法で突出した寄付を集めた泉佐野市にも問題はある。だが、国の関与は最小限度にすべきと定める地方自治法の観点からは疑問がある司法判断と言わざるを得ない。

 総務省が、過熱する返礼品競争に歯止めをかけるため新基準を告示したのは2019年4月。返礼品を寄付額の3割以下の地場産品に限定する内容で、18年11月にさかのぼってルール違反のあった自治体は除外するとした。その結果、泉佐野市など4市町が新制度から外された。

 市側は裁判で、法改正による新制度施行前の寄付集めを判断材料に制度から外したのは裁量権の逸脱・乱用と訴えた。国に従わなかったことを理由に不利益を科すのは、地方自治法に反するとも主張した。

 確かに、法制化前の行為を理由にした介入を許せば、国の都合で自治体の取り組みを自由に制限できる。言うことをきかない自治体への「見せしめ」がまかり通れば、地方自治の萎縮を助長しかねない。

 国と地方を「対等・協力」関係と位置付けた、地方分権一括法に逆行する形になる。

 同法に基づく第三者機関「国地方係争処理委員会」は、旧制度下の行為を理由に泉佐野市を新制度から外したのは違法の疑いがあるとして総務省に再検討を勧告した。これを無視した総務省の対応を、今回司法が追認した。分権改革を軽視し、国の強権的な姿勢に追随するかのような判決には違和感を覚える。

 08年に始まったふるさと納税は、応援したい自治体を選んで寄付することで、都市部に偏りがちな財源を地方に移す狙いがあった。ところが返礼品目当ての寄付が横行し、新制度でも自治体間競争は続いている。

 これは制度自体が持つゆがみである。国は返礼品の撤廃を含め、抜本的に見直さねばならない。

 そもそも地方の財源確保は交付税や税源移譲などで実現するのが筋だ。国は地方の実情と向き合い、対等な立場で議論する必要がある。

社説の最新
もっと見る

天気(5月30日)

  • 28℃
  • ---℃
  • 10%

  • 28℃
  • ---℃
  • 10%

  • 30℃
  • ---℃
  • 10%

  • 30℃
  • ---℃
  • 10%

お知らせ