社説

  • 印刷

 11月の米大統領選に向けて、野党民主党の候補指名争いが本格化している。

 第2戦となるニューハンプシャー州予備選は、左派のサンダース上院議員(78)が勝利した。初戦のアイオワ州に続き、中道のブティジェッジ前サウスベンド市長(38)と接戦を繰り広げた。

 ただ、両氏とともに4強と目された左派ウォーレン上院議員(70)と中道バイデン前副大統領(77)は初戦に続き苦戦した。3位に躍り出たのは、中道のクロブシャー上院議員(59)だった。党員の間でも、トランプ大統領への対立候補をまだ絞り切れていない証しだ。

 与党共和党はトランプ氏の指名が確実な情勢となっている。ウクライナ疑惑を巡る弾劾裁判では、共和党が多数を占める議会上院が証人の招致を拒み、無罪評決を下した。

 早期に幕を引くのが狙いだろう。疑惑解明より大統領選を優先した結果といえる。

 民主党が政権奪還を目指すならトランプ氏への批判にとどまらず、国民の融和を促し、大国として国際社会にいかに貢献するかなどの骨太の議論を展開するべきだ。

 民主党の混戦は、トランプ政権の3年で生まれた格差に対するスタンスの違いが一因にある。

 サンダース氏やウォーレン氏は、富裕層への増税や大学無償化、国民皆保険など急進的な政策を掲げる。一方、ブティジェッジ氏らは実現可能な穏健策を唱える。トランプ氏がおざなりにした気候変動への取り組みに対しても、各氏の問題意識は共通するものの、手法の点では違いが目立つ。

 大統領選の本選では無党派層だけでなく、共和党内の穏健派からも支持を得なければ政権奪回は見通せない。多くの民主党員はそれを考慮して候補を絞り込もうとするだろう。

 トランプ政権はこの3年米国内の格差拡大にとどまらず、パリ協定や米ロ中距離核戦力(INF)廃棄条約などの国際的な約束をほごにしてきた。そうした政治の方向を転換しなければ孤立するとの危機感は、民主党内に限らず多くの国民が抱いている。

 通常の候補指名争いは、10州以上で党員集会や予備選が行われる3月3日の「スーパーチューズデー」がヤマ場となる。だが今回は、全米で支持率を上げている中道のブルームバーグ前ニューヨーク市長(77)が3月から本格参戦を決めている。潤沢な選挙資金を確保しているとされ、舌戦はまだまだ過熱しそうだ。

 各候補の主張や討論を通じて、トランプ政治の功罪を米国社会が検証する機会としてほしい。

社説の最新
もっと見る

天気(6月5日)

  • 28℃
  • ---℃
  • 30%

  • 32℃
  • ---℃
  • 30%

  • 31℃
  • ---℃
  • 20%

  • 33℃
  • ---℃
  • 30%

お知らせ