社説

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 子どもの貧困を減らすために解決すべき問題の一つが、養育費の不払いである。

 夫婦は離婚しても、子どもを育てる責任を双方が負う。養育費を払うのは親の義務だ。ところが「踏み倒し」が横行し、ひとり親家庭の困窮の要因になっている。対策が急がれる。

 国に先んじて、明石市が動きだした。2021年4月からのスタートを目指している新制度は、全国に例を見ない。

 不払いの養育費を市が立て替え、払わない親から回収する。支払い能力があるのに応じない場合は、反則金に当たる行政罰の過料を科す。さらに、子どもの意思を確認した上で氏名を公表する。

 氏名の公表は適切か、立て替えの財源に税金を使うだけに市民の理解をどう得るか-。有識者会議で検討している。課題はあるが、子どもの利益を最優先に具体策を練ってほしい。

 そして何より、国が責任を果たさねばならない。

 日本の子どもの貧困率は13・9%と先進国の中で依然高く、ひとり親家庭では50・8%にもなる。世帯収入が子どもの進学や健康に影響し、貧困の連鎖を生むとの調査結果もある。養育費の確保は死活問題といえる。

 しかし、厚生労働省の調査では約8割の母子家庭が父親から養育費を受け取っておらず、半数以上は離婚時に養育費の取り決め自体をしていなかった。

 海外では離婚の際に養育費の協議を義務付けたり、別居親の給与から天引きしたりする制度が導入されている。

 国がどこまで関与するかについては慎重な議論が求められる。とはいえ、日本のように当事者の自助努力に任せきりでは限界がある。

 養育費不払いの解消へ向け、国は当事者の意見を丁寧に聞きながら制度をつくるべきだ。

 前進した部分もある。今春に施行される改正民事執行法は、養育費を払わない人の預金などを裁判所が把握し、差し押さえしやすい仕組みを盛り込んだ。

 ただ、まだ不十分だ。安倍晋三首相は「貧困対策は未来を担う子どもたちへの投資」と繰り返し述べ、政府として対策推進を掲げている。政治の責任は極めて重い。

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