社説

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 京阪神を中心とする企業経営者らが経済社会の在り方を議論する「関西財界セミナー」が、京都市で開かれた。58回目となる今回は「好機のいま、はばたく関西~起爆剤を発展につなげる」をテーマに、過去最高の734人が参加した。

 米中の覇権争いや英国の欧州連合(EU)からの離脱、不安定な中東情勢に加えて、新型コロナウイルスによる肺炎が中国などで広がる。世界情勢は不透明感が増している。

 今回は例年にも増して、参加者が活発に議論を交わした。閉塞(へいそく)感を打破し、関西経済の発展を築いた自由な気風を取り戻す一助としたい。

 新型肺炎では分科会で各社が現状を報告した。関西は中国経済とのつながりが深く、サプライチェーン(部品の調達・供給網)の寸断など危機感を共有した。感染の拡大はなお終息の気配が見えておらず、冷静で柔軟な対応が必要だ。

 昨年のセミナーは大阪・関西万博の誘致決定直後で、ある種の高揚感があった。

 それから1年。日本経済は社会のデジタル化など第4次産業革命で米国や中国に比べて周回遅れにあり、少子高齢化や人口減少、さらには東京一極集中の加速で関西経済はいっそう苦境に立つ。

 今回は万博を、社会課題の克服への道筋を示す「未来社会の実験場」とし、改めて期待を寄せた。地域発展の「最後のチャンス」との位置づけを関西全体で共有したい。

 セミナーは大企業からの参加が中心となるのが恒例だが、今回は若手起業家らが参加した。万博やその後の社会を担っていく世代だ。ベンチャーを生み出し成長させるエコシステムや少子高齢化、教育といった社会課題について、大企業の経営者らと議論した。

 議論を促す仕掛けもあった。ベテランと若手が一つのテーブルを囲む対話型分科会が、初めて設けられた。大手とベンチャー、中高年と若者といった異なる立場からの発言が双方に刺激となり、さまざまな壁も認識し合えたようだ。

 このまま言いっ放しにするのではなく、今回できたつながりをいかに継続していくか。より大きな果実を得られるような工夫を考える必要がある。

 すでに神戸、大阪、京都の3都市が一体となって、起業家などを集中的に呼び込む内閣府の「スタートアップ・エコシステム拠点都市」指定を申請している。「ワン関西」を志向する表れだ。

 都市それぞれの個性を生かしながら、一体感も醸成し相乗効果を生かす。今回の議論を契機に、活性化への取り組みを加速したい。

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