社説

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 昨年10月の消費税率引き上げが景気に悪影響を及ぼしていることを、統計が明確に示した。

 昨年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)は実質で前期比1・6%減、年率換算で6・3%減と2018年7~9月期以来のマイナスとなった。同じ期間の機械受注も、2四半期連続で前期比マイナスだった。

 GDPの減少幅は、前回の税率引き上げ直後の14年4~6月期(年率換算7・4%減)以来の水準だ。増税前の駆け込み需要の反動による景気低迷を防ぐため、政府はポイント還元やプレミアム付き商品券など数千億円規模の対策を講じた。しかし台風19号などの影響も重なり、十分に効果を挙げていないことになる。

 政府は、景気が緩やかな回復基調にあるとの判断を変えていない。しかし安倍晋三首相が掲げる「アベノミクス」や「三本の矢」への期待はとうに色あせ、日本経済の基礎体力は弱まっていると、現状認識を改めるべきではないか。

 今年1~3月期のGDPは新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけるのは必至だ。国民の生命を守るとともに、景気後退に陥らないためにも、政府は拡大の阻止に全力を注がねばならない。

 感染拡大のダメージは、インバウンド(訪日観光客)の増加に沸いていた観光やサービス、小売業などで真っ先に表れている。

 他の産業への波及も避けられそうにない。製造業の多くは中国に工場や部品の仕入れ先があり、現地の休業が長引けば生産が滞る。日中間の物流が減少し、運輸や倉庫業にも響く。日本経済の中国依存度の高さを改めて認識させられる。

 日銀大阪支店は近畿2府4県の2月の景気判断を、4年3カ月ぶりに引き下げた。流行が1年以上続けば日本経済のマイナス成長は長引くというのが民間シンクタンクの試算だ。企業活動も個人消費も沈滞が続き、日本経済が再びデフレに陥る可能性が現実味を帯びてくる。

 生産拠点の国内シフトや国内旅行のキャンペーンなど、落ち込みを少しでも内需でカバーする必要がある。そのためにも新型ウイルスの封じ込めは急務だ。中小企業が資金繰りに窮しないよう、公的融資などのきめ細かな対応も欠かせない。

 懸念するのは太平洋の島しょ国などで、感染を防ぐため日本からの入国を禁じる例が出始めたことだ。

 日本で感染者が増えれば追随する動きが広まりかねない。そうなれば日本経済はかつて経験したことのないような局面に立つ。政府は危機感と緊張感を持って、さらなる対策を打ち出さねばならない。

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