社説

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 東京五輪は開幕まで半年を切った。メインスタジアムの新国立競技場が完成するなどハード面の準備は着々と進む。一方で五輪後を見据えた課題も指摘されている。2度目となる自国開催の意義を改めて考えたい。

 国際オリンピック委員会(IOC)は、五輪憲章で「大会のよいレガシー(遺産)を、開催国と開催都市に残すことを推進する」とうたっている。

 1964年の前回大会は、敗戦からの復興を世界に印象づけた。東海道新幹線や首都高速道路、高層ホテルなど都市インフラが整備され、日本の高度成長を象徴するレガシーとなった。

 先進国の一員となり、既にインフラが整った今回は、国際社会に発信するソフト面のレガシーづくりがより重要になる。

 組織委員会は金メダル30個を目標に掲げた。長く語り継がれる日本選手の活躍を多くの国民が期待し、応援するだろう。だがそれだけでは自国開催の「地の利」を証明するにとどまる。

 7年前の招致活動でアピールした「おもてなし」を思い出したい。大会ボランティアには8万人の募集に20万人が応募し、関心の高さを示した。海外選手と住民が交流する「ホストタウン」には兵庫県内を含め400を超える自治体が登録した。

 国籍や人種、障害の有無、文化の違いを超えてもてなす取り組みは、多様な価値観を育て、持続可能な共生社会の実現にもつながる。地域の特性を生かした方法を工夫し、大会後も続く交流を目指したい。

 忘れてならないのが「復興五輪」としての位置づけである。聖火リレーは3月26日、福島県を出発し、宮城県でも競技が行われる。東日本大震災から立ち直る被災地の姿を世界に示すのが政府の狙いだ。

 しかし、被災者の生活再建や福島第1原発の汚染水対策などは途上で、実態との乖離(かいり)に疑問の声も上がる。復興五輪を看板倒れにしないため、被災地への関心を高める仕掛けを官民一体となって考えねばならない。

 最大の課題として、終息が見通せない新型コロナウイルス対策が浮上した。専門機関と緊密に連携し、選手、観客、スタッフらを守る具体策を早急に示して懸念を払拭(ふっしょく)する必要がある。

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